濡れた髪をタオルで拭きながらリビングへ向かう途中から楽しげな鼻唄が聞こえてきて思わず口が緩んだ 扉を開けるとそこにはキッチンでご飯を作っている彼女が居て堪らずその小さな背中に抱き付いた 「なまえーちゃん」 「わっ!さ、佐助?!」 ビクリと身体を震わせ驚いたようにまんまるく大きく目を見開いて俺を見上げてきた彼女にまるで悪戯が成功したみたいに嬉しくなって笑い掛けると彼女は少し口を尖らせて困ったように笑った 「ビックリしたぁ!もうお風呂上がったの?」 「うん、なまえちゃん待たせたらいけないと思って早く上がってきた」 「ふふっ、なにそれ。」 「あはー、俺様の心遣い」 「ばか。あーあー、もう、髪まだ濡れてんじゃんか」 「んー、」 「風邪引くよ?」 くしゃりと髪を撫でた彼女の手が心地よくてその手に擦り付くように髪を擦り寄せると小さな彼女の笑い声が胸元から聞こえてきた 「ふふっ、佐助なんか猫みたい」 「えー、なにそれ」 「可愛いって意味」 「む、俺様カッコいい方がいいし」 「はいはい、佐助くんはカッコいいですねー」 「……なんか感情籠ってない」 「そんなことないって、ほらほらそろそろ退いて退いてご飯が作れないから」 「えええー、」 「えええーじゃない、包丁とか危ないじゃない、つうか邪魔」 「……ちょっと本音出てるんだけど」 なまえちゃん酷いっ!と叫びながら抱き締めている俺の手を離そうと手を掴んでいる彼女に意地でも離すもんかと抱き締めている手に更に力をいれて、いじけたように口を尖らせ彼女の髪に顔を埋めると普段嗅ぎ慣れているシャンプーの香りがして思わずにやけた 「ちょっ、佐助!」 「んー?」 「離してってば!」 「やだ」 「もう、ご飯作れない、」 困ったように目尻を下げ俺を見上げてきた彼女に我慢ならずチュッと口付けると一瞬なにが起こったのか理解出来なかったのかきょとんと俺を見つめた後、一気に顔を真っ赤に染めた彼女に込み上げてきた笑いを堪えることなく喉を鳴らしながら笑い首元に顔を埋めた 「さっ、さす、佐助っ!」 「くくくっ、あーもう!なまえちゃん可愛いすぎ!」 「な、!」 我慢ならずそう叫んだ俺に顔を真っ赤にして慌てたように暴れ始めた彼女を逃げれないように更にぎゅっと強く抱き締めて顔を覗き込んだ 「ねぇ、なまえちゃん」 「…、」 「なまえちゃんの髪から俺様と同じ匂いがするのはなんで?」 「…っ、それは、」 「ねぇ、なんで?」 「もう!佐助のばか!わかってるくせにっ!」 顔を真っ赤にして羞恥心から涙目で俺様を見上げるように睨み付けそう言った彼女の頬に手を寄せおでことおでこをくっ付けて囁いた 「ごめん、でも俺様直接、なまえちゃんの口から聞きたい」 「、っ」 「ね?だから、言って?」 唇噛んで俺の胸を一回叩いて羞恥心から不安げに俺を見上げて小さく呟いた彼女に堪らず噛み付くように唇を奪った ずるいよ、ねえ、あなた、 (本当、可愛すぎて、ずるい) |