長い睫毛が震えた刹那、きみを独り占めしたいって思う

「私を受け入れろ」
突き刺さる程に、冷たい声が、降ってくる。背中に、回された腕は、容赦なく。骨の、軋む、音が、聞こえるくらいに強く、抱き締められる。押し付けられている、肩は、随分、痩せていて。どうせ、また、ろくに食べてはいないのでしょう。眠る事も、惜しんで。憎悪の、深みに嵌まる、此の人を。最早、天も、見放したのでしょうか。縋る、宛もなく。悲しみに、藻掻く事を、強いられる、など。これ程、酷な話は、ありません。
「私は、御側に居ります」
薄い背中に、腕を回す。三成様の腕に、更に力が籠る。私は、押し潰されても、可笑しくはない、くらいで。苦しい。けれど、三成様の、心の痛みに、比べれば。どうという事は、無いのかも知れない。在り来たりな、考えしか浮かばない、私は、愚かでしょうか。それすらも、よく、分からなくなって、きている。三成様は、私の首筋に、顔を埋めた。長い、前髪が触れて、擽る。じわり。冷たさが、流れ込む。嗚呼、泣いているのですか。




長い睫毛が震えた刹那、きみを独り占めしたいって思う





 meg様、企画参加感謝致します
素敵な作品ありがとうございました。



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