Novel | ナノ

桜歌 Celebrate Kirsche13(1)


Kirsche13


 救出されてから三日、レヴェリーは入院していた。
その間、何度もバーナビーに会いたい、会わせて欲しいと母や看護師、医師に等に訴えていたが、「バーナビーはいまそれどころじゃない、この事件は非常に大問題になっている。救出してくれてありがとうとお礼を言う程度の事で今彼に会うのは難しい」と言われた。
 ヒーローに救出された方その後、みたいなものを良くシュテルンビルトタイムスは取材するが基本こういった「いい話」を記事にするのは事件そのものがいい話で収まる程度の場合のみだ。
レヴェリーも今回報道されて初めて知ったのだが、エースワース・フォートミューロ財閥の御曹司であるアレックス・フォートミューロがこの「超個体化」NEXT本人だと知ってこれが単なるNEXTによる事件ではなく、本国を揺るがすNEXT人権問題に相当する事件だと初めて知ったのだった。
 自分の祖父母の時代の話になるのでレヴェリー自身はこの法律については良く知らない。
ただ、NEXTに対して非常に厳しい、それこそ時代錯誤的な酷い州法だということだけは学校で習っていた。
一番最初にそれを撤廃してのけたのはシュテルンビルトが存在するこのN州で、それに賛同する州は増えたけれど全部ではないということ。何の矛盾か本国の首都であるV州にはその州法がまだ撤廃されずに残っているし、NEXTに対して未だに世界は非常に厳しいのだ。
 NEXTに目覚め、NEXTとしてシュテルンビルトに登録すると、まずNEXTというのがどういう存在であるか、そしてその能力を持つことによって課せられる義務があることを伝えられる。幼ければ保護者がそれを本人に伝え、NEXTとしての自覚を促しかつその能力を人の為に使うようにと教育されることになる。ヒーローシステムはそのNEXT情操教育の一環にもなっており、実のところ目覚ましい成果を上げていた。
 ヒーローシステムは次代のNEXTである子供たちにとって目に見えて判りやすいNEXTの正しい在り方を示す教本でもあったのだ。
人を差別する心はどんな人にでもある。差別ではなくそれはきっと区別なのだろうけれどそれは仕方がない。
そして区別であったそれを差別に変えてしまうのは、結局のところ教育なのだ。
前世代、身近なところでいうならば親が判りやすい。親が差別するのを当然だと思っていればそれは子に伝わり子はまた当然のように差別する。
しかし親がこれはいけないことだ、差別は許されないことなのだという見本を見せれば子はその思想を受け継ぐ。少なくとも差別に対して「これは正しい事なのか?」と意識を向けることになるだろう。
 エースワース・フォートミューロは国に働きかけNEXTを差別し隔離した。
その隔離場所として設置されたのがシュテルンビルトだったが、シュテルンビルトに集結したNEXTたちはその差別に立ち向かった。
シュテルンビルトにおいてだけNEXTはマイノリティではなくマジョリティであったからだ。
 それも差別に対してそのまま返すのではなく、理解してもらおうと歩み寄った。
何故ならNEXTは自分自身が他者に対して危険であり、排除されるだけの脅威であることを自覚していたから。
元はみな普通の人間だったのだ。特に第一世代は極めて寿命が短かったと聞く。
僅かな期間だが、病気だと最初は思われていたそうだ。それも致死的な伝染病だと誤解されていたならば、NEXTの傍に居るのは家族であったとしても苦痛だったろう。それを長い時間をかけ歩み寄り、理解してもらう事によって変えてきたのだ。
多くの手段を講じ、知ってもらおうとした。子供たちにも教育を徹底した。NEXTがマジョリティのこの都市ですらそれはそれは困難な試みだったという。そしてその歩みはまだまだ途中なのだ。
 病院着に着替えさせられていたので、まさか着ていた服を捨てられたのかと焦って聞いたらそれはなかった。
脱がす為に服は切り裂かれていたけれど、ちゃんと持ち物は残っていて「胸ポケットに入っていた手帳はどうなったのか」と母親に食って掛かるように聞くと「ちゃんとある」と手渡しされた。
 中を改めてホッとする。
ちゃんとしおりはそこに挟まっていて、レヴェリーはいつものようにタイガーの花びらに話しかけたが、何故か返事はなかった。
嫌な予感にしおりを取り出し目の前に翳してみると、あんなに美しい光を放っていたあの青がその花びらからは消え失せてしまっていた。
何故か判ってしまった。タイガーはもうここには居ない。
あれは夢だと思っていたけれど、多分本当にあったことだったのだ。最後の最後にタイガーが自分にお別れを言って行ったのだろうと。
 診察した医師が不思議がっていた。
病院に運び込まれた時、喉から出血していたという。二つの異なる音域でしかも指向性を持たせた音波で発声したとき、やばい、喉が焼き切れたと思ったことをレヴェリー自身が覚えており、実際自分は喉から血を吐きだした。
この傷は表層だけで一過性のものだからちゃんと治ると確信はしていたけれど、これは下手するとニ三日、一週間ぐらいまともに喋れなくなるかもと覚悟したのは本当だ。
なのにたった十六時間寝ただけで元通りに治癒したというのは自分でも信じがたい。自分には治癒の力などないからだ。
でも心当たりはある。
夢だと思っていたがずっとタイガーが自分の頭を撫ぜていた。あの時のあれは夢ではなく、本当にあったことだったのだろう。そしてあの時タイガーはうっすらと蒼く発光していなかったか。
瞳も金色だと思ったが、うっすらと蒼みがかっていたそれはひょっとしてタイガー自身のNEXTであったのではないだろうか。
あの時緑色にも見えたあの瞳、元来がアンバーアイズでそれにNEXTの青が重なったと考えればヘイゼルに思えた理由も納得がいく。
 金色の瞳とNEXTの青……、ハンドレッドパワーを発動している時のワイルドタイガーは鮮烈な青い瞳をしていてそれはHERO TVでも非常に美しかった。ハンドレッドパワーは時間制限があるだけに青の印象が特別に残りやすい。特に男性ヒーローはバトルアーマー仕様のヒーロースーツを着ているので、あまり素での瞳を見る機会はない。
それ故に良くフェイスガードを上げているワイルドタイガーの瞳の色は印象に残りやすかった。
 ハンドレッドパワーを貸してくれていたの?
そうしてあなた、バーナビーのところにいってしまったの。
身体の全てを失くしてしまった? あれはタイガー、あなた死んでしまったってことなの? 魂だけになったということ?
魂にもNEXTがあるの。それともあれがあなたの最後の力だったの?
 レヴェリーは退院し家に帰った後あのタイガーと長く語らった自分の机の前に座り、しおりをその手にとって一頻り泣いた。
そして思った。せめて彼の遺言通り、このしおりをバーナビーに届けよう。
遺言だなんて思いたくないけれど、あれが最後のタイガーの願いなのなら、私はせめてそれを果たそう。
何時になるか判らないけれど、きっと届けるわ、タイガー。だから安心してね、今きっとあなたは言った通りバーナビーの傍にいるんでしょう。
どれだけタイガーがあなたのことを大切に思っていたか、どれだけ愛していたか、私だけが知っている物語、タイガーの妖精と共に居た日々をせめて私はバーナビーに伝えてあげたい。



 休みだと言われてバーナビーは途方にくれた。
いっそ忙しい方が気が紛れる。なんだか食事するのも眠るのも億劫で余計に疲れるばかりで。
そもそも眠り方がなんだか良く判らなくなってしまって、朝まで横になっていると肩が凝る。
どうすればいいかなあと思った。
散歩に行けと警部が言ってたっけ……。
散歩かあ、でもこんな時間に何処へ?
 気づくともう辺りは真っ暗になっていた。
第二十一分署から出てどうすればいいのか判らない。
アポロンメディアに帰ろうかと思ったが、それはそれで気を遣わせそうだ。
ベンもロイズも自分に寝ろ休めというだろう。
司法局も自分に休めという判断を下した、キャンセルされた仕事は戻らないだろうし何か聞かれるのもこれまた億劫だとバーナビーは思う。
取り合えずまあ、やることもないし散歩がてら自分の家まで歩いて帰るか。
 セントラルパークを突っ切って帰れば丁度いいと思った。
だからとりあえずセントラルパークまで道なりを歩く。
そうして気づくとバーナビーは第十七分署の焼け跡の前にいつの間にか立っていた。
警官が幾人か立っており、非常灯が辺りを照らしている。
黄色い立ち入り規制線――バリケードテープが貼られており、それ以上先には進めなくなっていたが、ほぼ更地の状態になっている第十七分署が良く見えた。
現場検証に自分も立ち会ったから知っている。
 何もなかった。全く、桜の花びらと確認できるものが何一つ。
全部真っ黒の炭と煤、それと第十七分署を構成していた金属の柱しか残っていなかったのを。
 まあ桜の花びらなんてもう微々たるもんだし燃えたらそりゃあ跡形もなくなるよな。
バーナビーは変に納得してしまった。
ホントに綺麗さっぱりなにもなくなった。なんだか今思えば幻みたいなもんだな、そもそも人間が桜の花びらに変じるなんてナンセンスだ。
 失踪宣告か……。特別失踪宣告って期間一年だったのか。普通の失踪だと七年だっけ? それまでは死亡届出せないって聞いてたけど一年かあ。
一年経って虎徹が戻らなかったら彼は法律上死亡したという事になる。
 なんだかな、まあでももうどうでもいいや。なるようにしかならない、そうだよな。
突然バーナビーは思った。
 なんだ自分最初から一人じゃないか。虎徹に出会う前に戻っただけだ。そうどことなく予感はしてた。自分は一人で虎徹がいつか自分の傍からいなくなることなんて。最初から判ってた、覚悟してたじゃないか。この人もいつか自分の傍から居なくなる、いつか離れて行って終わるんだとそう僕は知ってたじゃないか。
 こんなの間違いだって。こんなに幸福で誰かがずっと傍に居てくれて愛してくれて手を差し伸べてくれて――違う、抱きしめさせてくれて僕に愛させてくれる人。そうだ僕はいつも失くしてたじゃないか。最初から。僕にはそんなものは贅沢品だって判ってたのに。
のめり込むのをどうしても止められなかった。手に入れたくて振り返って欲しくて失いたくなくてそれで臆病になって、そんなの馬鹿げてるって判ってたのに。そうだろう、バーナビー・ブルックスJr。お前はこうなる未来を知ってた。だから僕は大丈夫、その通りになっただけなんだから。



 ワイルドタイガーの花びらが焼失してから六日目、レヴェリーは居てもたってもいられなくなって家族の静止を振り切って第十七分署の焼け跡に向かった。燃えたと知っていてもレヴェリーは直接その現場を見たわけではない、もしかしたらまだ少しは花びらが残っているのではないかと思ったのだ。
もしかしたらまだ喋るタイガーが残ってるかも知れない。器を変えただけなのかも知れない、そうよ、あれだけ沢山あったんだもの、風に紛れてどこかにまだ残ってる筈。確かめた訳じゃないんだもん、そうだよ、確かめてみなきゃ。
 いつものように胸ポケットにしおりを挟んだ手帳を入れて、聴覚領域を花びらの音域に設定し限界まで拡大してあの懐かしいタイガーの声が聞こえないかとレヴェリーは第十七分署に向かう道すがらも探すのを諦めなかった。
 だが何も聞こえない。
タイガーの声と思しきものは何一つ感知できなかった。
そして第十七分署の前に来てレヴェリーは絶句。
本当に跡形もなく第十七分署は燃え尽きてしまっていた。
 鉄筋の骨組みしか残ってない――。
そして中央に山と積まれた炭化した残骸、恐らくロッカーや机などの類だろう。
それも真っ黒に炭化しており、もはや煤しか見当たらなかった。
 こんなに徹底的に燃えちゃうだなんて――。
「……」
 バリケードテープが貼られている前に警官が二人立っていた。
レヴェリーは長い事茫然と通りの向こうから第十七分署の焼け跡を眺めていた。
本当に余りの事に思考停止していたらしい。やがて我に返るとレヴェリーは思った。
 婦人警官とサイモンの事を警察に言わなきゃ。
すっかり忘れていたけれど、彼らがタイガーの花びらにガソリンをかけたからこんな風になったのだと思い出したから。
恐らくバーナビーはあの二人を目撃したのだろうから報告済みだろうけれど、一般市民である第三者の情報は別に必要だろう。
上手くすればその時にバーナビーに会わせてもらえるかも知れない。
バーナビーに会わせてくれれば証言する、とかじゃ無理かな……。
 そんなことを考えつつ第十七分署の通り沿いを歩く。
あれがタイガーの遺言だなんて考えたくないけど、でも。
 ふとレヴェリーはまだタイガーの花びらが落ちてないかと未練がましく足元を探していたその視線を上げる。
そうして通りの向こう側、じっと第十七分署を眺めている一人の青年の姿に気づくのだ。
 そんな馬鹿な、こんな偶然。
驚いて何度も目を瞬いてそれでも信じられなくて目を両手で擦った。
 バーナビーだ。



 これからどうしようかな。
それ以前にヒーロー続ける、のも考えなきゃいけないかな。虎徹さんがいないしバディヒーローは続けられない。
まあ僕が考えることじゃないだろうけど。
 ライアンを呼び戻すとか、あるかな? そんなことを考えていると隣に誰か人の気配を感じる。
なんだろうと隣をみやると見覚えのある女性が立っていた。
 あの場面緘黙症のレヴェリーだと暫くして気づいた。
「君は……」
「バーナビー」
 レヴェリーは真っすぐに自分を見つめており、その瞳はもの言いたげだった。
そして彼女は案の定こう言った。
「助けてくれてありがとうございました」
「いいえ、どうしたしまして?」
 そう返しにっこりと笑う。いつもの営業スマイルで特に意識したわけではないが、その笑顔にレヴェリーは奇妙な顔をしたと思った。
不自然だったろうか、虎徹さんにもお前のその笑顔なんか怖いぞと指摘されたことがある。
心がこもってないってバレバレだとそういえば言っていたっけ。
そんなことを考えていたらレヴェリーはこう言って来た。
「ごめんなさい、タイガーを……助けられなくて」
 バーナビーはその言葉に耳を疑った。
何故か判らないが胸を酷くざわめかせるそれはそんな痛いセリフだった。
聞きたくない、誰からもそんな言葉言われたくないとバーナビーは突然強く思ったのだった。
「何故貴女がそんなことを言うんです?!」
 思いもかけず詰問口調になっていたのだと思う。レヴェリーが瞬間怯んだ顔になり、二歩後退ったのが見えた。
それでもバーナビーはやめられなかった。兎に角非常に不愉快だったのだ。
「ワイルドタイガーを助けられなかったのは僕の失態です。貴女がそんなこと言う必要はない。貴女に何が出来たっていうんです?」
 助けを呼んでくれた。血を吐いて迄僕を呼んでくれた。
判ってる、でもそれに僕は応えられなかった。むざむざ彼を焼かせてしまった。貴女がそんなことを言ったら余りにも僕が惨めじゃないか。
折角チャンスを貰ったのに、僕がそのチャンスを無駄にしてしまったなんて、僕が虎徹さんを『殺した』なんてなんで自覚させるんだ。
違う、僕のせいじゃない、いや僕のせいだ。でもどうすればよかったんだ、あのままこの子も見殺しにして虎徹さんごと僕も燃えれば良かったのか。
いっその事そうしたかった。でもできなかった! きみが居たから! レヴェリー、きみが居たから僕は虎徹さんと心中することも出来なかったんだ。
こんなこと気づかせないで、僕はあのまま死んでしまいたかった、虎徹さんを失うぐらいなら!
 だけど僕はヒーローだ。ヒーローだったんだ。
虎徹さんがお前はヒーローでいろって言うから、間違えるなっていうから僕は――――。
 自分に強く叫んだ後黙り込んだバーナビーを前にレヴェリーは立ち、その表情がさまざまに変化していくのを見ていた。
そしてレヴェリーはバーナビーがワイルドタイガーを失ってどれほど悲しんでいるかを知ったのだった。
自分が悲しんでいる、辛いという事を自覚してはもう立ち直れないほど。タイガー、バーナビーにとってあなたは本当に本当に大切な人だったんだね。
だったら猶更だよ、どうしてこんな風に消えてしまったの。バーナビーの為にもあなたは元に戻るべきだった、あんな風に立ち去ってはいけない人だったんだよ。ねえ、バーナビー泣き叫んでるよ、私には彼を救ってあげられない。かける言葉なんか何一つない。
 だから。
「バーナビーにこれを渡しに来たの。タイガーの多分遺言だったから」
「遺言?」
「信じてくれなくてもいいよ。私タイガーの花びらとね、会話出来たんだ。タイガーが私に自分を探してくれきみのNEXTならそれが可能だからって短い間だったけどそれで手助けしてたの。私は聴覚のNEXTだから花びらの声が聞こえてた。それに発声器官もNEXTで調整できるから。私はタイガーにここにいるってバーナビーに伝えた方がいいって言ってたんだけど、タイガーの花びらは自分が元に戻れなかったらバーナビーが苦しむ、そう言って貴方に話すのを許可してくれなかったの。でも私今後悔してる。あなたにだけは伝えるべきだった、ここにタイガーがいて貴方の事をとても心配してる、愛してるってことを伝えればよかったって。でももう……」
 レヴェリーは夢を見たと言った。
最後に病院で目覚めたとき、これでバニーのところへ行けると。
一生気づいて貰えなかったとしても、バーナビーの傍にいたいと、そう言っていたと。
「それからこれを渡してくれって。ちゃんと会話になる花びらこの子だけだったんだ。それでしおりにして持ち歩いてたの。最後に夢の中でタイガー、貴方にこれを渡してくれって。少しでも慰めになるだろうから――、多分それを私にお願いするために自分は残ったのだろうってそんな風に言っていたの」
 バーナビーは差し出されたしおりを前に暫く突っ立っていた。
受け取っていいのかそれとも無視していいのか判らなかったのだ。
虎徹の遺言なんて知りたくなかった。遺言なんて言われたら、彼がもうこの世の何処にもいないことを認めなきゃいけないじゃないか。
それでも、バーナビーはそのしおりを受け取った。
 真摯に自分を見上げるレヴェリーの瞳に少し根負けしたからでもあった。
そしてレヴェリーはこう言った。
「バーナビー、タイガーはね、貴方の事大好きだったよ。本気で将来の事考えて花びらになってもモダモダしてるぐらい。悩んで苦しんであなたがどうしたら幸せでいられるかそればっかり聞かされてたよ私。だからちゃんと眠ってちゃんと食べて元気になって。タイガーはあなたの傍にいる。私はそう信じてる。そして元気になって良かったら私を訪ねて。タイガーとどんな会話をしたか、私が聞いたことあなたに伝えなきゃいけないことが沢山あるから。それまで自分の命を絶ったりしたら駄目だよ、タイガーそれだけは絶対許さない、最後の最後まで心配してたのはきっとそれだったから」
 そうしてレヴェリーはバーナビーのことを何度も振り返りながら去っていった。
残されたバーナビーは暫くその後もその場に突っ立っていた。
我に返ったのはレヴェリーが視界から消えて、三十分以上後になってからのことだった。



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