朝からなんか調子悪いような気がして、でもまぁ大丈夫だろうなんて甘えたことを考えてたらお昼に見事にダウンした。たまたまそこにいた勝呂くんが助けてくれたから良いものの、大人しく休めばよかったとそんな後悔は今更だった。



「ったく調子悪いなら学校休めアホ!」

「朝はそんなに調子悪いことなかったんだよ」

「悪化するくらい分かるやろガキとちゃうんやぞ」



イライラMAXって感じで彼、勝呂くんは何だかんだ言いながらもしっかり私の面倒を見てくれている。誰も来ないような校舎裏にあんなにタイミング良く現れてくれた勝呂くんはそのまま私を保健室に運び込んでくれたのだ。まぁタイミング悪く今日は保健の先生は出張みたいだったけど。だからグダグだ言いながらも私の世話をしてくれている。



「ありがとうもういいよ、午後の授業始まるよ」

「ええわ、志摩にメールしといた」



そう言った彼は私の額に冷えピタを貼った。朝は熱もなかったし、最初に言ったように大丈夫だろうって思ってたんだけど。さっきはかったときは結構いくとこまでいっちゃってた感じで、私の苦笑いに勝呂くんはギロッと睨みを向けた。



「本当に平気だから」

「あァ?」

「…そんな怒んないでよ…」

「友達もおらんような奴がよぉ言うわ」



ハッと馬鹿にしたような笑みを浮かべた勝呂くんに少しだけ…本当は結構嫌な気持ちになったけど、それでも薬や冷えピタ、汗を拭く用のタオルとか準備してくれてて、そんな気持ちはすぐに消えた。友達いないのも事実だし。
そんなことをしていると午後の授業開始のチャイムが鳴る。あーあ本当にサボらせちゃった、なんて申し訳ない気持ちが押し寄せてくる。見た目はこんなだけど、彼は誰より真面目で誰より誠実。あんまりよく知らないけど、そういうことは知ってるつもりだ。



「昼飯食うたんか」

「…まだ」

「食わなアカンのやけど…食欲は」

「ない」



はぁ、とわざとなのか良くわからない溜め息をついてじっと私を睨み付けている。朝、もあんまり食べてないけど、お昼は食べる前に倒れちゃったから勿論食べてなんかない。なのにお腹は空いてなくて、ああ今調子悪いんだってそんなことをぼんやり考えた。



「今日はもう帰れよ」

「…ん、」

「……いつもこれくらい素直やったらええのに」

「…いつも素直じゃん」

「どこがじゃ」



ペシッと顔面に投げられたタオルは、水に濡れてて凄く気持ちいい。それを退けようとタオルに触れると、勝呂くんの手も伸びてくる。その手も冷たくて気持ち良くて、思わず掴むと勝呂くんの動きが止まる。



「…んな、!」

「冷たいね」

「なんっ…とうとう頭おかしなったんか…!?」

「そうかもね」



冷たくてゴツゴツした手をきゅっと握ると、勝呂くんの顔がどんどん赤くなっていく。見た目はこんななのになぁ、って目を閉じた私に、勝呂くんは諦めたのか強張っていた手から力を抜いた。










( こいつ本間おかしなってる )
( ……なんやねん )


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -