「さて今日は何が食いたい?」
そんなサンジの質問に私が答えたのはハンバーグ。何と無く思い浮かんでそれを伝えれば、サンジは可笑しそうに笑ってそれから材料を持ちに行ってくれた。子供っぽかったかな、とか色々考えたけど余り気にしないことにした。私だけじゃなくてルフィやチョッパーもハンバーグは大好きだから。
私がボウルやらパン粉やらを用意している間にサンジは沢山の肉や野菜を抱えてきた。山ほど作らないとみんなのご飯には足りないから。それを目の前にして少しだけ怯んだけど、これから私はサンジと一緒に夕飯を作るのだ。
野菜の下準備はサンジがしてくれて、私は挽き肉とそれを混ぜる作業。手はしっかり洗ったし、そっと挽き肉に手を突っ込むとひんやり冷たい温度が伝わってきた。けどさすがに量が多いから、サンジも別で私の三倍くらいの量の挽き肉をこねている。
「もう少しやった方がいい?」
「ン?あァ、そのくらいでいいと思うぜ。俺ももういいくれェだな」
あとは形を作って焼くだけだ。焼くのはサンジがやってくれるから、私の手伝いって実はそんなに必要ないんだけど。でもこうして一緒にご飯作ったりするのは楽しいことだと思うし、サンジはよく摘まみ食いをさせてくれるから凄く得した気分になったりする。
「むーいるか?」
「あ、うんいるよ」
「何しに来やがったんだテメェは」
「あァ?ナミに言われただけだ」
「ナミさんに?残念だが今は手が離せねェって伝えといてくれ」
そう言われてナミの所に行くのかと思えば、反対に近付いてきた来たゾロが興味本意で後ろから私の手元を覗き込む。横でサンジが器用にゾロを蹴ったりしてるみたいで少し喧嘩になりそうだけど、私は苦笑いでそれを見るしかできない。
「俺のもっとデカイのな」
「あァン?むーちゃんがテメェなんぞの作るわけねェだろ調子乗ンな」
「ンだよじゃあテメェが作ンのかよ」
「テメェの分はテメェで作れ」
ピリピリした雰囲気。私は手に持ったハンバーグに肉を足し、これくらい?とゾロに聞くともう少しと返ってきて私は更に肉を足す。あんまり大きくするとサンジが焼くとき大変かなって、私は少し大きめのハンバーグを幾つか形作った。
「サンジは、これくらい?」
「いらねェよこいつの分なんか」
と、ゾロはブスッと真ん中に指を突き刺した。サンジ用に、と作ったりハンバーグにはぽっかり穴が空いている。
「ンなっ…せめて手ェくらい洗いやがれクソマリモ!!」
ゾロに対する言葉が余りにも“コックさん”で、少しだけ笑ってしまう。ナミからの伝言を受け取るとゾロは部屋を出ていった。
「ったくアイツは何しに来たンだっつーんだ全く…」
ブツブツ言いながらも綺麗に形取られていくハンバーグ。むーちゃんはこのくらいか?って言う質問に笑って返すと、何で笑ってンだ?って聞かれたけど。
「サンジのは私が作るね」
「ん?あァ……嬉しいモンだな」
二人が仲良しだったから、なんてそんなこと言えるはずもなくて。サンジが焼いてくれる姿を眺めながら私はまた気付かれないように少しだけ口元を緩めた。
―――――――
お兄ちゃんっぽいがよく分からない
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