船を走らせ、とある街に着いた。ショッピング街と有名なところみたいで皆は意気揚々と街に繰り出していった。私はというと昨日の夜から少しだけ頭痛を感じるようになり、朝起きたら気分が優れなくて留守番をしている。チョッパーは軽い風邪だと診断してくれて、薬を出してくれた。
治安のよさには定評のある街のようで、一人でいても危険はないだろうとのこと。あの事があったからなのか皆(特にナミやサンジ)は凄く心配してくれたし、ゾロなんかは一緒に残ってくれるつもりだったみたいだけど有名な刀屋があるようで、大丈夫だから行っておいでよと言うと「ちょっとだけ見てすぐ戻ってくる」と出ていった。
“あの時”のような激しい痛みや吐き気はないし、かも知れないっていうくらいの本当に軽いもの。一人で残る船内の静けさが何だか妙に心細い。



「むーー!いるかー!?」



暇でしょうから、とロビンが私に貸してくれた本を閉じると、船にそんな声が響き渡った。この声は…――ルフィ。バタバタと聞こえる足音はやけに騒がしく、バタンッと私のいる部屋のドアを勢いよく開ける。片手と背中には袋いっぱいの、あれは多分お肉か何か食べるものを山ほど抱えている。



「うめェもんいっぱい買ってきたから!これ食って元気出せ!」



と、袋から出るわ出るわの美味しそうな食料たち。これうめェぞ、と私に沢山くれるはいいけど生憎それほどお腹が空いているわけではない。それでもルフィはルフィなりに私のことを心配してくれて、それにとても嬉しそうに勧めてくれるから断るに断れない。



「いっぱい食っていっぱい寝て、そしたら良くなるってチョッパーが言ってたからおれすぐ帰ってきたんだ!」



ほら、こんなこと真顔で言うから。本当ならきっと、もっと時間をかけて美味しいものいっぱい食べたいはずなのに本気でそんなこと言ってくれるんだ。



「ありがとう、それでも私こんなには食べられないから」

「でも!チョッパーは食えって言ってたぞ!」

「だからさ、一緒に食べようよ」



ね、ってそう言うと、ムスッとした表情がパァァッと明るくなる。うめェうめェって頬張るルフィを見ているだけで私もお腹いっぱいな気持ちになるけど、せっく私の為にって買ってきてくれたんだから私も少しずつ口にした。相当大きなショッピングセンターが沢山建ち並んでいるようで、次は一緒に行こうなと満面の笑みでそう言った。


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