「むむむさんのことが好きなんだ」



友人からそんな告白をされたのは、つい先週のこと。
びっくりしたし何で僕に言うのかわからなかったけど、協力してほしいんだって言った彼に首を横に振ることは出来なかった。
だけど協力って言われてからそれらしい事してないっていうか、本当に何で僕なんだろうってそんな疑問しか出てこない。



「春、帰るよ」

「…あ、はいっ」



悠太くんと祐希くんに呼ばれて、慌ててリュックを背負う。
下駄箱には要くんと千鶴くんもいて、いつものメンバーで帰り道を歩く。

どうしよう相談した方がいいのかな、って。
結局やっぱり僕一人じゃどうにもならないような気がしてしまう。
断ればよかったって、そう思うけどもうそれも今さらだし。



「…春、何かあった?」



パッと顔をあげれば、立ち止まって僕を見る皆がいた。
何もないですって言ってもみんなにはわかっちゃうみたいで、そんなわけないだろって返される。
黙りこんだ僕に皆が色んな、ぶっきらぼうだったりするけど優しい言葉をくれる。
一人で悩むなんてずるいよ、だって。

だから僕も決めた。
そしたら皆もなんとかしてくれるんじゃないかって、そう思ったから。
リュックの肩紐をぎゅっと握りしめる。



「あの、僕……その…」

(むむむさんの事、好き、)
(ええぇぇぇえええー!?)










―――――


「びっくりさせんなよ…」

「千鶴が最後まで聞かないからだよ」

「だって春ちゃんの口から、むむむさんが好き…なんて出るとは思わないじゃん!」

「す、すいません…」

「…春が出来ないと思うなら、今からでも断っていいと思うよ」



きっと誰の得にもならない、と僕の頭をそっと撫でた悠太くんの言葉に心の底から救われた気がした。


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