何かを握り締め、唇を噛み締めた俯きがちの金髪の彼が放課後突然私の前に現れた。
パッと上げられた顔は今にも泣き出しそうで、眉間にググッと寄せた皺が全く彼らしくない。
どうしたの?と躊躇いがちに訊ねれば、彼は握り締めていたそれを私の机に叩き付けて言った。



「勉強教えてください…!!」



………キョトン、だ。
お願いしますむむむさんしかいないんです!とらしくない敬語を並べて懇願してくる彼に苦笑いで返せば彼はずいずい詰め寄ってくる。
いつも塚原くんや悠太くんに教えてもらってるんじゃなかったっけ、なんて思ってると私の疑問を見透かしたように話し始めた。



「真面目に勉強するから今回見てろよ要っちお前にゃ負けねぇぜ!なんて堂々宣言して真面目に勉強したのにこの散々な結果…要っちに見放されゆうたんと春ちゃんはお抹茶お抹茶、勉強してないゆっきーにも負けるわ俺もうダメだどんだけアホなんだ…」



絶望に打ちひしがれたように窓の外を眺め、かと思えば机に置かれたテストを悔しそうにバシバシ叩く。
確かに、机に置かれたテストの点数は散々な結果。
あとちょっとが届かなかったらしいなんとも残念なテスト結果と、迫り来る彼の迫力に思わず大きく頷いた。

来週追試があって、それに合格しないと色々とヤバいらしい。
自虐的な彼の愚痴を聞きながら、取り敢えず数学の教科書を取り出して公式を覚えてもらう事から始める事にする。
ああでもないこうでもない、うんうん悩む彼は真面目にやってるんだけど思っていたよりも勉強が苦手らしい。
根気よく教えていくけど、時間が経つにつれて彼のやる気はどんどん削ぎ落とされていくみたいで最終的には机に突っ伏した。



「もうだめだオレ本当にあほだもう無理だあほすぎる…このまま一生この学年やってくんだオレ……」

「た、橘くんそんな事…」

「…ってんな事になってたまるかー!!むむむさん何とかしてよー!!」



ガクガク私の肩を掴んで揺する彼に、やるしかないよとしか言えなくてそれからとにかく公式を覚えようって何度も言い聞かせた。



何とかしてあげたい

(でもこればっかりはなぁ…)










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ヘタレお題のはずがちょっと趣旨が変わってきているような…。彼の書きやすさに感動を覚えてます


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