これが入ったら、ゆっきーが漫画貸してくれる。
これが入ったら、ゆうたんがジュースを奢ってくれる。
これが入ったら、要っちが俺を怒らなくなる。
これが入ったら、春ちゃんが…いやいや入っても入らなくても春ちゃんは春ちゃんでいてくれればそれでよくて、
( これが入ったら、 )
狙いはそこ。
ゴミ箱に狙いを定め、そっと空のパックをそこに向けて、シュート。
「惜しかったね」
拾い上げてくれたそれを持ったむむむさんが笑う。
「案外難しいんだよなー」
「そうなの?」
「やってみれば分かるって」
パックを渡すと、むむむさんは俺の隣に並んで狙いを定める。
オレみたいに何か願掛けでもしてるのか、その表情はやけに真剣だった。
( これが入ったら、 )
綺麗なカーブを描いて飛んでいったそれの行く末を見て、むむむさんは俺を見て難しいねと苦笑いを浮かべた。
期待をすれば100%失敗
(彼女は一体何を願うのだろう)
―――――
珍しく千鶴くん視点。願ったのはメリーのことかそれとも――
なんて、思わせ振りな話になってればいいと思う。
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