高校1年生、一日目。
新しい制服を身に纏い、貼り出されたままのクラスを確認して下駄箱に新しい靴を押し込んだ。
真っ白な廊下も、ちょっと騒がしい教室も、何もかもが新鮮に感じる。
教室に入ると、もうそこには幾つかのグループが出来上がっている。



「あ、おはよう!」

「…お……おはよう…」



ドキドキしたまま返す。
人見知りの上に、入学式の三日前からたちの悪い風邪をこじらせ、一週間も寝込んでたんだからそれも仕方ないと思う。
完全にタイミングとか、色んな事を間違えたような気がする。
私の入る場所なんてないんじゃないかってくらいもうみんな仲良くなってるんだから。

キョロキョロして自分の席を探す。
おはようってみんな声かけてくれるけど、どうやら親交を深めるのに一生懸命らしくてすぐに視線は逸らされた。



「あ…おはよう…」

「おはよう。…むむむさん?」

「あ、うんむむむ…です…」



キョロキョロしてたら目があった人は、真っ黒な髪の毛に眼鏡姿の男の子だった。
彼は親切に私の席を教えてくれる。
入学式の次の日、どうやら席替えが実行されていたらしく私の席は教卓の真ん前。
うわあ…って思ったけど休んでたんだから仕方ない。
彼はどうやら私の隣の席みたいで、黙々と机に教科書を詰め込んでいる。
見すぎてたせいか目が合って、思わず逸らしてしまう。


(今の絶対わざとらしかったよね…)


ドキドキ、変な緊張感。



「ノート写すか?」

「え?…あ…ありがとう……」



差し出してくれた綺麗なノートを受け取る。
は、早く写した方がいいよね、って慌ててノートを写させてもらう。



「いいよそんな慌てなくて」

「え、あ、ごめん、」

「いや別に謝んなくても」

「ごっ、ごめん…」



いやだから…と、彼は軽く頭を掻いてまぁいいけどと呟いた。
ノートに書かれた彼の名前は、塚原要くんというらしい。



おろおろびくびく

(それが私の高校生活1日目)








―――――
最初に出会ってたのは実は塚原だったっていう話。無理矢理すぎた。


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