「浅羽が告白されたらしいよ」



そんなニュースが私の耳に入ってきたのは今朝の事。浅羽くんはモテるし、告白だって何回もされてるだろうし、もう別に気にするようなことでもないんだけど。でも、浅羽くんが告白されて、オッケーしたのか断ったのか、その辺りの情報は一切入ってこない。断っていたとしても、もしオッケーしてたとしても、私には何も言えないしどうしようもない。ただ、もやもやする気持ちだけが私の気持ちを覆っていく。



「断ったに決まってるけど、そんな心配なら聞いてくればいいじゃん」



出さないようにはしているけれど、落ち込む私に気付いた友人がそんな声をかけてくれた。でもそんなの聞けるわけないし…やっぱり複雑な気持ち。断ったに決まってるけど、…そう思いたいんだけど。
告白されたのが昨日の放課後で、部活が終わった後らしくて学校に残ってた生徒はほとんどいなかったみたいで、朝に聞いた話も「告白されたらしいよ」くらいのあやふやなもの。何処から出てきた話なのかはわからないけど、なんか、もう…とにかく複雑。複雑。



「悠太くんが告白されたって本当?」



と、そんな調子で私に色々と聞いてくる女の子もいっぱいいる。私と悠太くんがよく話をするからだと思うんだけど、私はごめん知らないしか言えない。そもそも相手の女の子が誰なのかっていう話すら聞かないし、この話が本当なのかも疑わしい。



「昨日告白されたってマジ?」

「…どうでしょう」



クラスの男の子が登校してきた悠太くんに尋ねると、悠太くんはあやふやにそんな返事をした。イエスともノーとも言わなかったし、悠太くんはきっと嘘がつけなくて、だから、多分、告白されたのは本当のことで。何が、とか何処が?とか聞かれてもわからないけど、何でか不安でいっぱいになった。もう、なんなの。やだなぁ、こんな気持ち。女の子たちだって、私が知らないっていうと凄く残念そうな顔をして「だよねー」なんて言いながら去っていくし。なんだろうこの負の連鎖。落ち込みたい訳じゃないのになぁ…なんて。気持ちが浮かないまま、朝、一時間目の授業が始まった。


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テーマ「人外ファンタジー」
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