ふわああ、と大あくびするところを朝から悠太くんにバッチリ見られたようでめちゃくちゃ恥ずかしかった。昨日ちょっと夜更かししちゃったからなんだけど、ああいうときに目が合うと普通に照れるしかないよね。恥ずかしい…しかも悠太くんに見られるなんて…!って。次の授業が終わる頃には忘れてるだろうけど。



「今日小テストだよ」

「だねー。全然勉強してないや…」

「とか言って、どうせいい点取るんでしょアンタは!」

「普通に授業聞いてたらだいたいわかる問題ばっかりだよ…」

「だめだ、もう頭の作りが違う」



後ろの席で項垂れる友人を励ましつつ、私も自分の席でもう一度あくび。勉強してたの?って聞かれたけど答えは半分イエスで、半分ノー。勉強もちょっとだけしたけど、途中からは漫画読んだり携帯触ってたらあんな時間になっちゃったってだけで。しかも小テストだからそんなに気を張るものでもないし、大丈夫だよって言ったら「まぁどうでもいいけどね」なんて返ってきたからもう笑うしかなかった。
小テストの内容を見ると、ぼちぼち分かるかなっていう感じ。わかんない問題も多いけど、それは小テストだからまぁいいかっていう油断。



「お疲れさまでしたー終わったわこれ」

「ちゃんと授業聞いてればちょっとくらい出来ると思うよ」

「眠くなるような授業する先生が悪いんだよ」



開き直った友人は大きくあくびをした。つられて私もあくび。今日はあくびばっかりだなぁ…って気付いて口元を押さえた。
お昼休み、自販機までジュースを買いに行こうと小銭を持って教室を出る。友人にも頼まれたからそれも忘れずに。



「あ、こんにちは」

「こんにちは」



そこにいたのは悠太くん。珍しく一人なのかなって周りを見渡すけど誰もいなかった。聞いた話によると祐希くんのワガママで買いに来たのだとか。優しいお兄ちゃんだと思う、ほんとに。悠太くんの手にはミックスジュースとイチゴオレが持たれていた。



「テストどうでした?」

「まぁまぁ、かなぁ。悠太くんはどうだった?」

「まぁまぁでした。難しかったよね」

「だよねぇ、ちょっと油断してた」



私も自分の分のジュースと友人の分を買って、それから並んで歩く。最近こういうの多いなぁと思うと、ちょっとだけ浮かれる。好きな人と話ながら並んで歩けるって、めちゃくちゃ幸せなことだと思う。しかも相手が悠太くんなんだから、他の子に何か思われたって仕方ないかもしれない。



「昨夜は勉強してたの?」

「勉強?ちょっとだけしたけど…どうして?」

「今日は朝からよく欠伸をしてたみたいだから」



見られてたんだね…と苦笑い。それと共にやっぱり恥ずかしい。これからは気を付けないと、って密かに決意しながら教室に戻ると、何故だかクラス中の視線を浴びた。タイミングもタイミングなんだけど、ニヤッと笑った友人を私は見逃さなかった。


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