高校三年生にもなれば好きな人くらいできる。恋愛に憧れはあるし、素敵な人と好き同士になれたらいいなって夢も膨らむ。
だけど本当に夢や憧れって、正にその言葉通りにしかならないのかなぁって。私にも好きな人はいるけど、何て言うかそれこそ本当に夢見てんじゃないの?なんて言われたって仕方ないような相手。



「おはよう」

「あ、おはよう」



浅羽悠太くんって、素敵な人だから私だけじゃなくて彼を好きな女の子はたくさんいるんだ。
私は二年生の時から同じクラスだったからか、他の子よりも話したりはする方だと思う。悠太くんも見掛けたらさっきみたいに声をかけてくれるし、友達からもいいなって羨ましがられるくらい、女の子の中では仲いいよねって言われたりして、一人で嬉しくなったり。



「今日もかっこいいなぁ…ってか?」



冗談っぽくそう言った友達の背中をバシッと叩くと、大袈裟に「あー痛い痛い」なんてふざけて笑った。私が悠太くんを好きなのを知ってるし、応援もしてくれているこの子は私が大好きな親友。友達曰く、悠太くんは確かにかっこいいけど眺めてるだけでいいんだとか。私も、そうだと言えばそうなんだけど、でも…なんていうか。期待してるわけじゃないんだけど、なんか、付き合いたいとかそんなんじゃないんだけど、なんていうか、何て言うか…。



「告白しちゃえば?」

「こっ…!?告白なんてできるわけないじゃん…!」

「なんで?」

「なんで?ってそんなの、フラれるに決まってるし…無理無理!」



無理に決まってるし!と私が全力で首を振れば、友人は溜め息をついて「はいはい」って、何故だか適当にあしらわれた。まぁ友人にすれば私の事なんて他人事かもしれないし、仕方ないかもしれないんだけど、もうちょっと何か言ってくれてもいいんじゃないのかなぁ?なんて、思ったり。言わないけどね。



「早くくっつけばいいのにねぇ?」

「そんな簡単に…」

「簡単な事だと思うんだけど」

「そんなわけないじゃん…!」



はいはい、って。いくら他人事だって、もうちょっと何か助言とかしてくれてもいいんじゃない?なんて。簡単な事だと思うんだけど、なんてそんな事、簡単に言われてもなぁ…なんて。これもやっぱり言わないんだけど。


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