今日はごみ捨ての当番の日。重いごみ袋を両手に握り締めながら、なんか不思議だなーって思った。最初なんて浅羽くんは私の存在すら知らなかったのに、いつの間にか一緒に帰ったりするくらい近くに居られる。仲が良いかどうかはまぁ別として。焼却炉にゴミを投げ入れて、ちょっと近道。近道すると…ああ、なんか色々思い出しちゃう場所だなぁ。って、なんか、あれ、デジャヴ?



「好きです」

「ごめんなさい」



…デジャヴ?いや、その人物は私の時とは違うとはいえ、なんか色々と思い出しちゃうような光景。私もこんなことしてたんだよなぁって。私の場合はもっと酷かったのかもしれないけどね。誰ですか、ってあの一言の衝撃。破壊力抜群。そうだよねぇあんなこと言われて今じゃお友達なんてやってるんだから世の中って本当に不思議なものだと思う。



「覗きですか」

「…びっ!」

「……び?」

「………びっくりしたよ」



覗いていたわけではないんだけど、そんな形になっちゃっていたのも事実で。後ろから現れた浅羽くんがいきなり声をかけてくるからビックリもするだろう。私が見ている光景を私の上から見ている浅羽くんにいろんなドキドキを感じる。いや、近いな、近いよねこれ…!緊張してるのは私だけかもしれないけど浅羽くんも何と無く楽しそうだ。肝心の告白シーンはもう終わっちゃったけど。っていうかこういう場面になって浅羽くんは思い出したりしないのだろうか。私のことなんか覚えてないってか、悲しいような救われたような…何だろうこの複雑な気持ち。



「青春ですね」

「青春だねぇ」



フラれた女の子は悲しそうな顔で男の子に笑いかけた。ああなんか、まるでドラマや漫画の世界。私もこんな風に可愛くて女の子らしい反応ができたらよかったのかなぁなんてね。完璧な見本を見せられたような…何で私、あの時走って逃げちゃったんだろう。誰ですかって言われたからなんだけどね。



「懐かしい光景ですね」



ボソッと聞こえたその言葉に、一瞬わけがわからなかったけどハッとした。それってもしかしてあの、私のこと言ってるのかな…なんて聞けるわけなくて一人で焦る。浅羽くんもそれ以上何も言わないしで微妙な空気が流れているような。



「そろそろ行きましょうか」



そう言って私から離れた浅羽くんは歩き出して、私も小走りで隣に並んだ。なんか自然にそうしちゃったんだけど、行きましょうかって言ってくれたんだから別にいいよねって前向きに思うことにした。でもやっぱりあの告白はなかったことにしてほしかったなぁ…なんてね。今更すぎる。


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