さて今日は木曜日。とりあえず今日と明日頑張ったら二日間の休みがやってくる。それを励みになんとか頑張ろう、と気合いを入れながら小さく欠伸。やる気があるのかないのかと聞かれれば当然やる気なんてない。ボーッとしてても1日って終わっちゃうんだから、どれだけ我慢出来るかっていうのが一番重要な気がする。そんなこと思ってるの私だけかもしれないけど。



「おはよう」

「あ、おはよう」



挨拶してくれたのは浅羽くんだった。気紛れだって何だって、嬉しいものは嬉しい。前回おはようって言ってくれたときよりも自然に返せたような気がして、なんとなくホッとした。正直なところ「あ、また言ってくれた」ってそんな感じなんだけど、改めて浅羽くんが私に挨拶してくれたんだよな…って考え直すと不思議と嬉しさが数割増しでやってくる。何で私、最近こんなに浅羽くんとよく触れ合ってるんだろうって疑問にもなるよね。嬉しいんだけどさ。
そんな今日は午後に家庭科の調理実習が待っている。お昼ご飯の後だから作るのはデザート。たった一時間しかないわけで、作るのは簡単な苺大福。3人か4人くらいでグループになってやるわけだけど、さてどうしようって感じ。仲よくしてる一人の子とは一緒にやろうってなったんだけど、あと一人か二人足りないわけで。そんなときに声をかけてくれたのは塚原くん。



「一緒にやる人もう決まったか?」

「え、うーん…二人だけ」

「じゃあ俺と悠太、一緒にやるわ」



だって。え?って感じだったけど取り敢えず決まって良かったということにしておこう。塚原くんともあんまり話したりしないから、どうしたのって思っちゃったけど気にしない。同じグループって言っても同じ机でやるだけだしね。浅羽くんと塚原くんも一緒にやるよって、一緒にやる女の子に伝えると顔を赤くしてめちゃくちゃ喜んでた。
そんなこんなで家庭科の時間。グループで机に集まって、最初の数分間は先生の話を聞く。私と友達で並んで、前には浅羽くんと塚原くんが並んでる。机には白玉粉とつぶ餡、いちご、片栗粉、砂糖が用意されていて、塚原くんがめちゃくちゃ細かく分量を計って分けてくれた。



「さすが要」

「性格出るね」

「…お前ら最初からやる気なかっただろ」

「そんなことないよね!むー!」

「そうだよ」

「感情ゼロだな」



シレッとする私たちに塚原くんはため息。いや、本当にやる気なかったわけじゃなくて、どうしようかなって迷ってる間に塚原くんがパッパとやってくれただけで。そんな話をしながら、先生の説明通りに手を動かしていく。混ぜたりするだけだから簡単なんだけど。



「…うまく包めないんだけど」

「俺もこういうの苦手…」



きれいに包めない私と塚原くんは四苦八苦。友達と浅羽くんはめちゃくちゃキレイに包めてるから、なんか恥ずかしいよね。めっちゃ見られてるし。浅羽くん、めっちゃ見てるし!



「もうこれでいいかな」

「食えたら問題ねぇだろ」

「だよね」



なかなかイビツな苺大福になったんだけど、塚原くんの言う通り食べられれば問題はない。結局は自分で食べるわけだしね。とは言っても、昼ご飯を食べたばっかりで苺大福にはまだ少し早い時間。先生にラップを貰って、包んで放課後にでも食べようかなーって。なんか塚原くんがいい人だなってそんな印象になった1日だった。


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