スタートラインから飛び出して『5』と書かれた紙を手に取り、それを広げる。
書かれているのは『目立つ子』っていうもので、色々考えてみるけどなかなか思い浮かばない。
目立つ子、って、私のクラスにはそんなに目立つような子いないからなぁ…なんて考えながら歩く。
悠太くんや塚原くんはある意味目立ってるかもしれないけど。
「おっ、何探してんのー?」
「目立つ子探してるんだけど…」
「目立つ子!?そんなの俺しかないじゃん!」
「…え、橘くん一緒に来てくれるの?」
「え、行かなくていいの?」
じゃあお願いします、って言うと橘くんは任せろ!って言ってニカッと笑った。
「よーっし1番取ったるぞー!」
気合いを入れた橘くんは私の手を取り勢いよく走り出した。
一緒に走りながら前をゆっくり走っている一人を追い越し、宣言通り一番になった。
「よっしゃ一番獲ったどー!」
「お前自分のクラス抜かして一番になってどうすんだよ」
「…はっ!」
ゴール付近にいた塚原くんが冷静にツッコむと、橘くんはようやく気付いたようで次にゴールした女の子に気付いた。
あの子はそう、橘くんと同じクラスの女の子。
しれっとした視線を浴びせられた橘くんはそっと私の傍を離れていく。
「次は負けないからなー!」
「誰のせいだよ、ったくあのアホザル…」
呆れた塚原くんはお疲れって私にタオルを渡してくれた。
頑張ったのは私じゃないんだけどな、なんて思いつつ取り敢えずありがとうって返しておいた。
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