橘くん何なんだろう。応援してるからって貰ったジュースは一応飲んだけど、あんな嬉しそうに走り去っていった彼の背中に不安を感じた。まさかクラス中に噂流しまくってんじゃないだろうか。



「やばいよね」



思わず口から声がでて口を押さえては見たけど。あり得すぎて怖いんですけど。浅羽祐希くんを好きなのかと聞いてきた橘くんも橘くんだけど素直に答えた私も私だっただろう。橘くん何かそういう話好きそうだし、絶対やばいよね、言っちゃ悪いけど口軽そうだし。いや悪口とかじゃなくてこれは自分の身を守ろうとしているだけであって。ああもうホンットやだな、なんで素直に答えちゃったんだろう私バカだよね完璧。後先考えずに行動するからいっつもこうなるんだよ。浅羽祐希くんの時もそうなんだよ、もう本当にどうしよう。項垂れる私を見た友人がバシッと私の肩を叩いた。



「どうした、また何か面白いことでもやったの?」

「また、って…私別に面白いことしてないから」

「なんかね、もうアンタがやることいちいちツボなのよ」

「最高。グッジョブ」

「親指出さないで」



グッと出してきた二人の親指を順番に折り畳み、私はまた机に項垂れる。橘くんの事は話してないんだけど言ったらまた笑われそうだからこれは心の中に閉まっておく。橘くんが話しちゃってたら話は別だけど、今の感じだと多分まだ橘くんは話してないんだろう。多分まだ、ね。



「えっとーむむむさんいるー?」

「…何、いつの間に仲良くなってんの」

「なってないし。一回しか話したことないし」



教室のドアから顔を出して大声で私を呼ぶのは何故だかあの橘くんだった。私を見付けて大きく手を振る彼のところに渋々向かうと、ニカッと笑ってやけにキラキラした目で私を見ていた。ちょっと引き気味な私に気付かないのか、わざとらしく回りをキョロキョロして誰もいない廊下に私を引っ張り出した。え、何これ逆に注目の的なんですけど。更に引き気味な私に気付かない彼は壁に持たれて腕を組んで何故だかうんうん頷いている。ごめんちょっと本当に意味わかんない。



「いやぁ俺はね、むむむさんとゆっきーを応援したいわけですよ」

「ごめん意味がわからない」

「え、わかんない?だーかーらぁ、俺はむむむさんとゆっきーを応援したいわけですよ」

「いやそういうことじゃなくて」



何そのドヤ顔。ごめんだけど私は今の彼に本気でドン引きをしている。ごめん時間ないからと何とか切り抜けた私に「また後で!」と相変わらずキラキラした表情で私に右手を挙げた。また後でが冗談でありますようにと受けた授業の後にまたやってきた彼に私はまた少し引いていた。


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