噂って言うのはいったいどこから広まっていくのだろうか。



「すみませんでしたって何!」

「アンタ何で謝ってんの!」



腹筋割れるよどうしてくれんのさ、と爆笑する二人に私は項垂れるばかり。何で知ってんだよ…って思ってたらこの二人だけじゃなくて一部で噂になってるらしい。私のあの告白が。誰かに見られていたらしい。誰ですかって言われたの見られてたらしい。もう本気で消えたいんですけど…なんて思う私を見て「しばらく笑える」と言う二人を睨み付けるとゴメンゴメンって笑いながら言われた。
なんか周りの子が私を見て笑っているような気がしてソワソワしながら一日を過ごした。ああ嫌だ。幸いな事に私は浅羽祐希くんとはクラスも違うし結構遠いから良かったんだけど、だけど、だからこそ噂で耳が痛いっていうかなんていうか。アイツだよ浅羽祐希くんに無謀な告白したのは、とか笑われてるんだろうなってなんかもう泣きたいよ本当に。



「浅羽じゃん」

「あれはお兄ちゃんの方?」

「顔一緒じゃんね、もう兄ちゃんの方にしといたら?」

「いやいや何言ってんの…」



確かに顔は似てるんだけど、でもそれは違うでしょ。評判で言えばお兄ちゃんである浅羽悠太くんの方が優しくてモテるらしいんだけど、浅羽祐希くんも自由で気儘だけど運動神経抜群で人気だって、なんか噂で聞いたことがある。モテるって知ってたけどここまでとは。何で告白したんだろう私。浅羽祐希くんモテるんだよな…うん、だって格好いいんだもん。



「あ、弟もいるじゃん」

「さぁどうする」

「話しかけに行ったら?」

「いやいやいやいや無理でしょ」



少し先に浅羽悠太くん、と、浅羽祐希くんがいた。自販機で隠れてて見えなかったけど浅羽悠太くんの奥に浅羽祐希くんにもいたらしい。話しかけに行けよって私の背中をグイグイ押す友人に、いやだから無理だってば、って押されて押し返してを繰り返す。無理無理無理無理、ってやってると浅羽祐希くんがふとこっちを見、た、ような気がして顔が赤くなって、青くなる。無理無理無理、無理、無理だってば。



「ほらほらー」

「むっ…ご、ごめん無理…!」



持っていた鞄で咄嗟に顔を隠す。バレてるって分かってるんだけどなんかもうどうしていいか解らなくて、結果、顔を隠すっていう無意味な行動に出たわけだけど。どうか私だと気付きませんように、なんて願いも虚しく、とてつもなく気まずい雰囲気のまま私たちは二人の前を去った。


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