惨めと言うかなんというか。付き合ってくださいとかフラれるとかそんな次元の話じゃなかった。浅羽祐希くんは私の存在すら知らなかったのだ。



「名前書くの忘れてた」



告白の結果を報告すると、友達はそう言って爆笑し始める。知らない女にいきなり告白された結果の「誰ですか」ってことか。そりゃ知らない女に好きですとか言われてもお前誰だよとかなるかもしれないけど、けどさ、なんかもっと、もっと何か無かったのかなとも思うわけで。オブラートに包むとか、っていうか普通にごめんとかで良かったんじゃないかな。わざわざ誰ですかとかさ、言わなくて良かったんじゃないかな。そう思うともうこの世から消え去りたいと思った。存在してない設定にでもして欲しいくらいだ。っていうか浅羽くんが私を知らない事を知らなかったとか悲しすぎる。私のシュミレーションにそれはなかったから、なんかもうほんとに、無かったことにしてくれないかな…なんてそんな都合よくいくわけもないけど。それにしてもいろんな方面からのダメージがかなり大きい。これなら本気でごめんなさいって言われた方が良かったよ絶対。誰ですかって、誰ですか、って…なんかもう、やるせない。



「まぁまぁ、フラれたわけじゃないんだし?」

「ねぇ?これから存在知ってもらえばいいじゃん?」

「…二人とも他人事だと思って!」



だって他人事だし、って再び笑い始める彼女たちに私は落ち込むしか出来ずにいる。この二人は私の友人であり、こういう話も出来ちゃうくらい仲良しだと私は思っている。ちなみに二人は東先生に夢中で浅羽兄弟にはなんの興味もないらしい。モテるって言うけど東先生の方がカッコいいじゃん、って言われればまぁそうなんだけど、ジャンルが違うような気がする。それは良いとして、私のこの話が相当ツボに入ったのか笑い続ける。すみませんでしたと走り去ったあの時の私の行動はまだ言ってないけど、言ったら確実に笑われるからまだ二人には言わないでおこうと思う。


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