6月20日。
いつもと同じ、何も変わらない1日。
二時間目の授業を終えたとき、クラスの女の子から「今日浅羽くん誕生日なんだよ」って教えてもらった。
誕生日だって知らなかった私は勿論プレゼントなんて準備してるわけもない。
取り敢えず、おめでとうくらい言いたくてタイミングを伺ってはいるんだけど、こうなると周りの目が気になってなかなか近付けない。



「聞いた?今日浅羽の誕生日なんだって」

「うん、さっき聞いた」

「おめでとうって言った?」

「まだ言ってない…っていうか、なんか言えないよね…」



私が苦笑いを浮かべると、岬ちゃんも確かにねぇって同じように苦笑いを浮かべる。
その情報がいつの間にか皆にも広まっていたみたいで、浅羽くんの周りはクラスメイトで賑やかだ。
そこに私なんかが近付けるはずもない。
それに今日はまだもう少し時間もあるし、帰るまでに言えたらいい。
…なんて、言ってみるけど。
本当に言えるかどうかはわからない。



「次移動教室だよ、行こっか」



そうしているうちに、ほら、もうお昼休みが終わった。
必要な教科書と筆記用具を持って、一足先に賑やかな教室を出た。

どうやって言おうかなとか、どんなタイミングで言おうかなとか、色んな事を考えてみる。
考えてみたってその通りにはいかないって分かってるんだけど。



「この授業つまんない」



隣に座っている岬ちゃんがボソッと呟いた。
そうだね、と頷きながら私の頭は今は別のことでいっぱいだった。


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