「いただきまーす!」



辺りはすっかり薄暗くなり、もう皆のお腹もペコペコ。飯盒で炊いたご飯も綺麗に出来て、皆で円になってカレーを食べる。この雰囲気は合宿っていうよりもまるでキャンプでもしているような気分だった。



「おかわり!」

「皆よぉ食べはりますねぇ」



私と奥村くんが作ったカレーは好評で、みんな美味しいって言いながら沢山食べてくれる。



「良かったな!」

「うん」



ニッコリ、嬉しそうな奥村くんが私に笑いかけてくれた。いつも自分が作るカレーよりも美味しいような気がして、それはきっと奥村くんのおかげで。
―…こんな空気、久し振りだ。学園に来てからろくに友達も出来なくてずっと一人だった私には、とても懐かしいような感覚になる。それと同時に、お父さんとお母さんは何してるのかなぁなんて事を考えた。勉強で忙しいからって理由を付けて、最近連絡も取れてない。こんなことあったんだよ、って。こんなことしてるんだよ、って。話したいことも沢山ある。



「むむむさん、どうかしましたか?」

「…や、別に」

「……そうですか」



奥村先生の静かな問いかけに、私は首を横に振った。

お父さんとお母さんが何を思って私をこの塾に入れたのかわからない。今でも嫌になることはあるし、出来ないと思うこともある。未だに後ろ向きな意見ばかりだし、やっぱり私には向いてないだろうってどっかでは思ってる。



「カレー美味しかったです」

「半分は奥村くんのおかげです」

「彼の特技は料理だけですから」



だけど頑張ってるんだよって、何とかやってるよ、って。そんなことを伝えたい気持ちになった。

柔らかく笑った奥村先生も、いつもより少しだけ嬉しそうに見えた。


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