ふぁ、と欠伸をひとつ。今日は学園が休みだから昼前までゆっくりと寝てた。お昼を過ぎてからは候補生になってからの初任務という名目で、志摩くんと一緒に多摩川に行く。ゆっくり伸びをして壁にかけてある制服に手をかけた。任務というものは基本的に制服で行かなきゃいけないらしい。



「おはようむむむさん」



集合場所は取り敢えず校門。そこには既に志摩くんと先生がいて、待たせてたんだって気付いて二人にスミマセンと謝った。



「じゃあ先に行ってるから」

「……え?」

「………え、あの…」



軽トラックに乗り込んだ先生が、右手を上げてそのまま出発していく。取り残された私と志摩くんはボーゼンと軽トラックが去っていくのを眺めるしかできない。理解したのはその直後。…確かに歩いて20分くらいの場所だけど、と諦めのため息と共に私と志摩くんはゆっくりと足を動かした。
塾以外の場所で彼と会うことは初めてだ。彼に限らずこの広い学園内で会うことはほとんどない。この間みたいに奥村くんとは噴水の前とかで何度か会ってるけど、それでも片手で足りるくらい。



「なんちゅう初任務や…」



志摩くんは大きな大きな溜め息を吐いた。確かに、任務とは言い難い内容かもしれない。今から軽トラックの荷台いっぱいに囀石を拾いに行く、いわば雑用のような内容。志摩くんによると、三輪くんや勝呂くんも言い渡された内容はまるで雑用だって教えてくれた。


「むむむさんは何で祓魔師なろうと思ったん?」



突然の志摩くんの問い掛けに、勿論答えられるわけはない。あー、とか、んー、とか考えてみた結果やっぱり何でなのかはわからない。おじいちゃんが祓魔師だったから、とそれを知ったのはつい最近だし、両親に何の意図があったのかもわからない。結局答えは「成り行きで」とそんな感じ。ポカンとした彼は、少し笑って「そうなんや」と私に返した。



「帰りも歩きかなー」



歩くこと15分。目の前にはやっと先生の乗っていた軽トラックが見えていた。


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