学校にいくつもある階段。友達と話しながら歩けば楽しいだろうが生憎私にそんな友達はいない。入学して数ヶ月、友達を作るのを諦めた訳じゃないけど諦めかけている。…塾で話せる友達がいるからいいんだ別に、なんて強がってみるけどやっぱり少し寂しい。
長い長い階段を下る。学年が上がれば階も下がっていくけど、今はまだ一年生。頑張って上っては下りをひたすら繰り返すそんな毎日。無駄に広いこの学園の階段は、普通の階段よりも疲れるような気がする。
教科書を抱えて小さく溜め息。普通の高校生になりたかった、なんて願望はもう今さらどうしようもない。一段ずつ階段を下りていく。



「あ、むむむさんや」

「…え、……っ!」

「あっ、ぶな、」



階段も残り4段。足を一歩踏み出したとき、下にはよく目立つピンク色の髪の人物がいた。一瞬逸れた思考は、見事に私の足の行き場を失わせる。ズルッと、足を滑らせたのだ。驚きでギュッと目を閉じ、落ちた痛みは思ったほどのものではなくて。



「だ、大丈夫か…?」



ゆっくり目を開くと私の身体はその人物によりしっかりと支えられていた。ほんの数センチ先にあるその顔。お互いの呼吸を感じてしまいそうな距離感に、思わず私は目を見開く。



「ちょお志摩、お前何し、て…」



そこに現れたのは勝呂くんだった。私が手放したであろう教科書を持った彼は私と、私の目の前の志摩くんを見てピタッと固まってしまう。そして眉間のシワを深くした彼は顔を真っ赤に染めていく。



「おっ…お前らっ……」

「え、いやあのこれは誤解で…!」

「そうやで坊!別にむむむさんと変なことしてたわけやなくて、」






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