「ハ〜イ☆訓練生の皆サン大変お疲れサマでした〜」
奥村雪男とネイガウス先生。そして天井から、正十字学園の理事長であるメフィストさんが現れた。カラフルで独特の風貌は一度見ればなかなか忘れられず、入学する前に見たことをしっかりと思い出した。確か理事長だったはず。たぶん。
「このわたしが中級以上の悪魔の侵入を許すわけがないでしょう!」
理事長がパチンと指を鳴らす。その瞬間天井や床から見覚えのある人…――祓魔塾の先生たちが次々に現れ、唖然呆然とする私たち塾生をぐるっと取り囲んだ。理事長は医工騎士の先生方に手当てを指示し、怪我をしている私たちにゆっくりと近付いてくる。状況を把握できずにキョロキョロするのは奥村くんと私だけで、他のみんなは何やら理解し始めたらしく驚きの表情を浮かべている。え、私何が何だか、よくわかんないんだけど…
「なんと!この強化合宿は候補生認定試験を兼ねたものだったのです!!!」
「はがっ!?」
――…成る程そういうわけだったのか。なんてスグに理解するような柔軟な頭を持っていない私と奥村くんは驚きを隠せないまま理事長と、先生方を見る。その時偶然奥村雪男と目が合い、めいっぱいの苦笑いを私に向けてくれていた。ああそうなの、そうだったんだ…って。何だか肩の重みが一気に無くなるような気がした。
「合宿中はそこかしこに先生方を審査員として配置し、皆さんを細かく審査していました。これから先生方の報告書を読んで私が合否を最終決定します」
明日の発表を楽しみにしていてくださいネ☆なんて、笑顔で去っていく理事長。ポカンとした表情の生徒が数名。はぁ、と小さくため息を付き、安心したら痒くなってきた腕を擦る。
「掻いてはいけませんよ」
手首を掴みそれを阻止するのは、さっきまで神木さんの手当てをしていた奥村雪男。彼は私の腕や頬に飛んできた屍の体液を拭い、薬を塗っていく。私は、大丈夫ですか?と心配そうに私を見る彼から視線をはずして小さな声で「ありがとうございます」と呟く事しか出来ないけれど。
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