仕事が落ち着いた午後。
今日は小松田さんが家のお手伝いをしなきゃいけないからと午前中はいなくて、すんなりと仕事も片付いた。
昨日1日かけて散々色々とやっていったのはこの為なのかもしれない。
小松田さんがいたら丸1日かかってしまう仕事も、私1人だと半日で終わらせることができる。
いろんな意味でこれってどうなんだろう…と、思ったりするけど、何だか考えちゃいけないような気がして直ぐに思考を反らした。


(…土井先生と山田先生のところにお茶菓子でも持っていこうかな)


ちょうどこの間お客さんにいただいたお菓子があったはず、とまだ開けていないそれの包装をほどく。
出てきたそれは高級和菓子。
美味しそう、そう思って心弾ませ2つの湯飲みにお茶を注ぐ。
お盆に乗せて二人の部屋の前で軽く声をかけると土井先生の声で「どうぞ」と聞こえてきた。



「お茶とお茶菓子をお持ちしました」

「あ、わざわざすみません、ありがとうございます」



テストの採点でもしているのか、机に向かい正座をする土井先生がいた。
机から落ちない、且つ迷惑にならない場所にそれを乗せる。



「山田先生はいらっしゃらないのですか?」

「あぁはい、山田先生はつい先程利吉くんと一緒に外に出ていきました」

「そうなんですか…」



いつ帰ってくるかも分からないらしく、入れたお茶と包みから出した和菓子は無駄になってしまうかもしれないらしい。
後で頂いちゃおうかなぁってそんな事を考えながら立ち上がると、あのー…なんて遠慮がちに声をかけてくれる。
顔を向けると筆を持った手を止めたまま、土井先生も私を見ていた。



「時間があるようでしたらあの、一緒に……どうですか?」



一瞬、固まってしまった。
あ、あの忙しいようでしたら全然、無理しないでください、と。
もちろん仕事を終わらせた私は忙しいわけもなく、首を横に振る。
採点中のテストを横に退け、私の場所を空けてくれているらしくそこにお邪魔した。



「すみません狭くて、」

「あ、いえ私こそ、図々しくてすみません」



二人で苦笑い。
お茶菓子を食べながら世間話や、1年は組のよい子たちの話を聞かせてもらう。
誰かとこんな風にゆっくりと話すことはここに来てから初めてで、少し挙動不審だったかもしれないけどまたこんな風に話す機会があればいいなぁと思った。


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