兄が塾に通いだして暫くが経つ。真面目に授業を受けるつもりはあるらしいが、中身が伴っていないことに期待はしていなくても溜め息が零れる。
テストの採点を進めていく。勝呂くんや神木さんは流石の点数で、杜山さんは得意分野のはずだけど彼女独特の呼び名のせいで点数は伸びない。彼女の中では一致しているのだろうが、それが尚更惜しく感じる。それぞれが自分なりにやっている、その中で我が兄である奥村燐。今日の小テストの結果も散々だ。2点、なんて今まで見たことのないレベルの数字に頭が痛くなる。教え方が悪いのか、兄の頭が悪いのか。後者であって欲しい、寧ろそうでないと困るのは僕だ。だけど誰にでも分かる授業をやるのが講師で、そう考えるとまた少し頭が痛むような気がした。



あまりにも情けない



我が兄ながらなんと言うか。
溜め息を吐きながら最後に手をかけたテスト用紙は真っ白で、浮かんだ一人の女生徒の顔にまたひとつ悩みの種が増えた気がした。

今日はもう何度の溜め息を吐いただろうか。










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あの時の雪男。


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