授業の合間の休み時間。
春は千鶴と祐希に呼ばれて隣のクラスに遊びにいった。
一番後ろの窓際の席。
この場所は教室の全体が見渡せてなかなかの特等席だと思う。

休み時間になると教室はいくつかのグループにわかれる。
あの子ってあのグループじゃなかったっけ、とか、あのグループにあの人はいなかったような気がする、とか。
見てるだけで結構、色んなことがわかる。
皆それぞれ、自分の居場所を探しているのだろうか。

そんなことを面倒臭く感じる。
友達ってなんなんだろう。
正直、そんなことどうでもいいけど。
俺はあの5人でいい。
下らないけどそれでも一緒に居てだし、何よりも居心地がいい。

ぼーっと、視線が向く場所。
同じ窓際の俺より幾つか前の席にいる一人の女の子。
賑やかな教室の様子とはかけ離れ、手のひらに顎を乗せて一人で静かに窓の外を眺めている。
何かあるのかと窓の外を見ても特に何もなく、彼女が何を見ているのかはわからない。
彼女はほとんど動かない。
そんな彼女を眺めている俺も同じなんだろうけど、ただ、眺める。



「 ……――― 」



なにげに彼女が俺を見た。
俺も彼女を見ている。
バッチリ目が会うと、手のひらから顎を浮かせてその目をパチパチさせる。
何度か顔をキョロキョロさせて、確認するようにもう一度俺を見るとぷいっと前を向いてしまった。
肩を縮こめて、机でも眺めているのだろうか。
やってきた友達が声をかけると、嬉しそうな笑顔を向けて話し始める。

授業のチャイムが鳴る。
そこにはいつもの授業風景があって、きっとこれからもこんな毎日が続くんだろうなと思うと不思議と少しだけ幸せな気分になった。



じっと見れば照れて困る


いつか自分にもあの笑顔を向けてくれる日が来るのか、と。
何故かそんな事を思った。


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