塾と学校に通う毎日。正直メインは塾なような気がするけど、まぁ学校の勉強なんて俺にはさっぱりだから別にそれでいい。
授業は教室の一番後ろの隅の席。ちなみに反対側の一番前の席には同じ祓魔塾に通っているむむむがいる。あんまり話したことないからよくわかんねーけど、なんかいつも一人でいるイメージ。誰かといるとこ見たことないような気がする。話し掛けにくいっつーか、話し掛けてくるなオーラが出てるように見える。塾でも学校でも。塾ではいっつも教室の端っこ座ってるし、全然喋んねーし、終わったらすぐ帰っちまう。どんな奴なんだろうって思ったのはほんのちょっとの好奇心。



「なぁ雪男」



ベッドにゴロンと転がり、頭の下で腕を組んで天井を眺める。天井っつっても二段ベッドの底だけど。
返事をしない雪男を見てみると、机に向かってペンをガリガリと走らせていた。勉強してんのか塾の何かしてんのかはわかんねーけど、我が弟ながら真面目だなぁと思う。俺もやらなきゃ………じゃなくて、



「おい無視すんなよ!」

「どうせ大したことじゃないだろ」

「聞いてもねーのにンなこと言うな!」



ガバッと起き上がってガミガミ言ってみる。が、雪男は全く気にしていない様子でこっちを見向きもしない。なんだよ話くらい聞けよ大事な話だったらどうすんだよ!なんてしばらくウダウダ言うと雪男はため息をついてペンを動かす手を止め、身体を捻ってこっちを向いた。



「なに?」

「お前、俺の話が全部下らねぇとか思ってんだろ!」

「思ってるよ」

「んなっ…そんなハッキリ…!」

「だって実際そうだろ」

「そっ…そうじゃねぇかもしんねぇじゃねぇか!」



淡々と言ってのける雪男に返す言葉がこれって。俺ほんと自信なくなるわ。どうなんだ。一応なんとなく、自分が話す内容が大抵くだらねぇって事わかってるし。……ほんとどうなんだ、これ。



「で……どうでもいいけど本題は?」

「あぁ!?……本題は………」



………あれ、俺、雪男に何を聞こうとしてたんだっけ?塾の勉強?いや違う、学校の勉強もそんなわけ無いし。雪男の漫画借りようとした?いや違う、ああでもないこうでもない…と。結局。わからない。忘れた。



「…その記憶力じゃ来年は同じ学年にはいないかもしれないね」



笑うでもなく言い放つ雪男の言葉に、内心ドキッとしてしまった自分に本当に笑えなくなった。



シャレにならない冗談

(結局何が聞きたかったんだっけ………まぁいいや)


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