驚きと恐怖で放心状態だった。出したのだ、私が。あの大きな白虎を、出したのだ。



「内容はともあれ…よくやったむむむむー」



使い魔を出せる人間はごく僅かしかいないらしく、今年は豊作だと満足そうに語る。手騎士候補…私もその、一人なのだろうか。正直かなり複雑な気持ちだった。



「先程の白虎を見た通り、まず悪魔は自分より弱い者には決して従わない。特に自信を失くした者には逆に襲いかかる。さっきも言ったが使い魔は魔法円が破綻すれば任を解かれ消えるので…もし危険を感じたら“紙”で呼んだ場合、さっきのように紙を破くといいだろう」



下に落ちた紙を指差しそう言った。そこで授業が終わる。
状況を掴めていない私は何度か深呼吸をした。現れた白虎は私に襲い掛かってきた。それは私があの瞬間に怯んだからだと理由はわかる。だって怖いから、そんな言い訳が頭に浮かんだことに呆れるしか出来ない。



「…――やはり似ている」



見上げると先生がいる。感情の読めない視線が私を貫き、また恐怖を感じた。
似ている?私が?一体何に?そんな疑問が言葉として出ることはないけれど、確かに浮かび、そして消える。



「だが召喚するだけでは手騎士にはなれん。使い魔は手懐け、使いこなしてこそ意味がある。…お前にはまだ足りないものが多いようだな」



それだけ言うと先生は私に背中を向けて歩き出した。何が言いたいのか私にはわからないまま、疑問ばかりが浮かんでくる。
召喚できたことは喜ばしいことなのだろうか。天性の才能なんて、私に存在するものなのだろうか。やっぱりよくわからないまま、凄いとかすげーとかそんな言葉をくれる皆に複雑な気持ちが胸を占領した。


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