「祓魔師に必要な技術の資格のことで…騎士・竜騎士・手騎士・詠唱騎士・医工騎士の五種類あるんです。どれか一つでも“称号”を取得すれば祓魔師になれるんですよ」



説明をしてくれたのは三輪クンだった。そんな三輪クンと志摩クンが目指すのは詠唱騎士――アリア――と呼ばれる称号。それは聖書や経典やらを唱えて戦う方法。勝呂クンはそれに加えて竜騎士――ドラグーン――という銃火器で戦う称号を取ろうとしているらしい。奥村雪男もその竜騎士と、医療関連を担う医工騎士――ドクター――の2つの称号を取っているとそう言った。よく解らないがきっとすごいのだろう。奥村燐は刀剣で戦う騎士――ナイト――を目指すと決めたみたいで嬉しそうに丸をつけていた。



「むむむさんは?」

「そんなすぐ決めんでええやろ。意味も知らんかったくらいや、後悔せんようしっかり悩め」

「…なんやかんや面倒見ええんやからなぁ坊はー」



いつの間にかその場に馴染んでいた奥村燐は、三人と一緒の机で話を弾ませていた。私はありがとうとだけ言って自分の席に戻る。ちなみに他には悪魔を操って戦う手騎士――テイマー――というのもあるらしい。聞いたってどれも私には向いていないなと思った。みんなほんとに凄い。やっぱりみんな、私みたいな奴とは住む世界が違う。
最近は週末の休みの日に出掛けることも無くなって、部屋で勉強をしたりしている。そもそも学園の外に出なくてもほとんど何でも揃っているのだ、わざわざ出掛ける必要もない。そんな事を考えていた月曜日の朝。



「むむむさん」



後ろから聞こえた声に振り向くと、学園での学生服ではなく塾の先生用の制服を纏った奥村雪男が駆け寄ってきた。どうも、なんて軽く挨拶を済ませると彼は早速本題に入る。



「この間のプリント、むむむさんのだけまだ提出されていないみたいなんだ」

「…――あ」



苦笑いを浮かべる先生に慌てて鞄の中からプリントを取り出す。が、何も書いてないそれを見せると彼はまためいっぱいの苦笑いを浮かべて見せた。この間の小テストといい今回のプリントと言い、もしかしたら私は結構な問題児なのかもしれないとそう思った。



「称号は…まあ、わからないならまだ少し考える時間はあげられる。……合宿はどうする?」



むむむさん以外の皆は参加するようだけど、と付け足した彼を見て答えに詰まった。出来れば行きたくないです、小さな声でそう伝えると上から「そっか」と少し残念そうな声が聞こえてきて、別に悪いことしてないのに悪いことしたような変な気持ちになった。



「…――僕は、むむむさんが合宿に参加してくれたら…嬉しいと思う」

「……嬉しい?」

「合宿をキッカケに何かが変わるかもしれない……強要する事ではないけど、皆はきっと待ってる」



よく、分からなかった。首を傾げると彼は少し目を細めて何も言わない私に「参加してみない?」と言葉を落とす。しばらく考えた。私が参加すれば彼は嬉しいと言った。やっぱりよくわからないけれど私は首を小さく縦に振った。


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