こればっかりは譲れない。
「なっ…俺だって…っ…」
「千鶴には負けません」
これだけは、どうしても。
「俺だってゆっきーには負けないんだからな!」
「…千鶴にはわかんないよ」
そう、千鶴にはわからない。
負ける気がしない。
俺にだって譲れないもの、ひとつやふたつあるんだ。
「むむむさんっ……!」
むむむさんに詰め寄っていく千鶴に、ムカつくっていう感情が渦巻く。
いつもそうだ。
いつも千鶴は俺より先に、
「どっちの漫画が面白いと思う!?」
「…え、あのどっちも読んだことないから何とも言えないっていうか……」
彼女に意見を求めにいくんだ。
巻き込まれた無関係の喧嘩
(千鶴の選ぶ漫画はいつも微妙)
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