友達とランチ食べて一緒に勉強して、憧れの素敵な先輩とか見付けてそれなりに充実した毎日を送る。私が夢見てた高校生活はこんな感じだった。それが現実はどうだろう。ランチどころか友達もいないし、時々申し訳程度に話し掛けてくれる子はいるけどそれはただその場しのぎの友達で。憧れの素敵な先輩なんていないし、私の学園生活にキラキラした要素はひとつだって見当たりはしない。朝起きて学校行って勉強して塾行って勉強して帰って予習復習宿題課題をこなしてお風呂入って寝てまた朝が来て、ひたすらそれの繰り返し。最近は塾どころか学園の勉強にもついていけない部分が出てきた。一人で焦って馬鹿みたい。親の言うことなんか聞かないで普通の高校に行けばよかった。そんな後悔、今さらもう遅いけど。



「それではこの間の小テストを返します」



順に名前を呼ばれていく。他の7名の生徒が呼ばれ、最後に私。微妙に気まずいが呼ばれて取りにいくと、奥村雪男は怒るどころか困ったような笑顔を浮かべていた。



「少し難しかったですか?」



何も言わない私にまた困ったように表情を歪めて、名前くらい書きましょうね、と真っ白な小テストを差し出してきた。そのまま席につく。さっきから言い合いをしている奥村燐と勝呂クンの声が響く。



「塾におんのはみんな真面目に祓魔師目指してはる人だけや!お前みたいな意識の低い奴目障りやから早よ出ていけ!!」



何故だかわからないけど、勝呂クンのこの言葉だけがやけにハッキリと頭に入ってきた。―――真面目に祓魔師を目指している人だけ―――と、その言葉は私の胸をえぐっていく。真っ白な小テストを眺めて思う。やっぱり私がここに居る理由なんてない。悪魔祓いや祓魔師がどんな内容なのかは授業の流れで理解していった。途中から気付いてたけど私はどう考えたって場違いだ。私には荷が重すぎる。やめるのその一言が言えたのなら私はきっとすぐにでも逃げ出せるのに。何度も浮かんでは消えるこの思考を口に出せる日が早くくればいいと思う。私にはまだそんな勇気はないけれど。


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