学園の勉強と塾の勉強と、帰ってやることはいっぱいある。学園の勉強はまだ頑張れる。いっぱいいっぱいだけど何とか着いていけてる。それに比べて祓魔塾の内容は頭が混乱するだけだった。一応ノートは写してはいるが、内容はあんまり理解していない。聞きなれない単語や漢字、横文字や暗号のような文字列に図形。授業が終わるたびに何でこんなことしてるんだろうって気持ちが生まれるばかり。親には連絡を取れていない。仕事が忙しいのかは知らないが電話が繋がらない。聞きたいことは山ほどあるのに、解決したことはまだひとつもない。



「今日の授業の最後に小テストをするのでしっかり理解しておいてくださいね」



奥村雪男がそう言った。小テストと言えば明日、学園の方でも数学の小テストがある事を思い出した。
学校が終わってから塾に来る。塾が終わってから学園の勉強の予習復習や宿題課題をして、最後に塾の課題をこなす。…――これだけ勉強する意味、理由は一体何なのだろうか。学園の勉強ならまだしも、悪魔祓いに関してこんなに勉強する意味は正直サッパリわからない。何故こんなに真面目に取り組んでいるのだろう。何故やらなきゃいけないんだろう。流れのままにやってきた今日までの毎日に、一体なんの意味があるというのだろうか。祓魔師――エクソシストになりたい願望はゼロであり、悪魔祓い――エクソシズムを学ぶ理由だってひとつも見当たらない。
馬鹿馬鹿しくなった。学園の勉強もまともに出来ないのにこんな事を学ぶ余裕なんて私にはないはずだ。頑張ろうよとか頑張ってよとか声をかけてくれる友達もいないのに、何を頼りにして誰を頼りにしていけばいいのかそれすらわかっていないのに。全てが自分任せで自分頼り。悪魔祓いなんて自分に頼ってわかるわけない。だけどやめるきっかけも掴めず、結局ダラダラとやるしかない。それが分かっていることが余計に虚しさを倍増させる。



「それでは筆記用具以外のものをしまってください。今から小テストを配ります」



少ない生徒に直々に小テストを配っていく奥村雪男。裏返しにされたプリントの裏は真っ白で、合図と共にプリントをめくる音が静かに響いた。
こんなテストに何の意味があるんだろう。何でこんなことしなきゃいけないんだろう。学園に入学してからいいことなんて一つもない。友達も出来ないし授業に着いていくのにも必死。予定では普通の塾に通って着いていけない知識の穴をそこで埋めていくはずだったのにそれどころじゃない。塾に通って増えたのは少しの薬草の知識と悪魔についての僅かな知識とついていけない勉強だけだ。



「それでは回収に向かいますので筆記用具を置いてプリントを裏返してください」



怒られるかな。そんな事を思いながら一度も自分の手が触れていない小テストを回収していく奥村雪男の背中を眺めた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -