いつの間にか。
最初は会話すらしないようなただのクラスメイトだった女の子が、友達になった。
話し掛けると目をパチパチして戸惑いを見せたり、後ろから名前を呼んだりすると肩を跳ねさせて驚かれたりするけど。

後ろから聞き慣れた声がしてなんとなく振り返ってみると、そこにはむむむさんと要がいた。
いつか祐希が二人が似ていると言った事があるけど、当たってるわけでもないがあながち間違いでもないかもしれない。
また先生からの頼まれごとだったのかもしれないが、二人の手にはこの間提出したノートとプリントが持たれていた。
要がノートを配り、むむむさんはプリントを配る。



「先生の手伝い?」

「あ、うん職員室行ったらついでに手伝ってって言われて…」



俺の名前が書かれたプリントを受け取ってありがとうと言うと彼女は小さく笑った。
こうやって話すとき、彼女の視線は俺の目を見たり通り過ぎたり忙しなく移動する。
あの、とかえっと、とかそんな言葉もよく使って何だか少し他人行儀。
友達、と言っていいのかは正直微妙なところかもしれないが、ただのクラスメイトと言うには少し違う気がするから友達なんだと思う。



「むむむさんって挙動不審だよね」



もちろん変な意味なんかじゃなくて。
人見知りするっていうのは知ってるからそんな意味で。
移動教室の帰り道、なんとなく口に出したその言葉に要は一瞬だけ訝しげな顔を見せる。



「お前らにだけだろ」



そしてこう言った。
その意味はすぐにわかる。
それは自分自身が心のどこかで思っていたからかもしれないし、思い付く節がいくつもあったからなのかもしれない。

廊下を歩いてると先輩が要に話し掛けて、そのまま生徒会の入り込んだ話をし出す。
先行ってるよって伝えて一人で教室に入ると、春と楽しそうに話すむむむさんの姿が目に入った。


( ――― 俺らにだけ、 )


何話してるの?と話し掛けてみると、彼女はやっぱりあからさまに視線を逸らして困ったように笑って見せた。



人見知りは人一倍


(違いは一体、何だろう)


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