正十字学園は全寮制だ。寮はだいたい二人か三人ずつが一緒の部屋で生活するはずだけど、私は8畳程の部屋に一人で住むことになった。理由はわからないけどこっちの方が気は楽でいい。
塾の課題を机に広げながら、昨日配られた塾のテキストに目を通す。悪魔とかそんなの信じられるはずなかった私は昨日、確かに見えるようになってしまったのだ。あんな塾、本当は今すぐにでも辞めてしまいたい。なのにそれが言えず、律儀に課題をこなそうとしている自分には心の底から溜め息が漏れた。課題の内容だってわけわかんない。わかりたくもない。だけどやるしかない。嫌だと言えない。



「悪魔祓い…祓魔師……」



―――エクソシスト。
これから自分がどこを目指そうとしているのか、それを考えると胃が押し潰されそうなそんな気分になった。
そういえば奥村雪男は廊下の彼の事を兄さんと呼んでいたんだっけ。私たちと同い年だと言いながら兄さんと呼ぶ。双子なのだろうか。全く似ていない上に奥村雪男の方がしっかり者でお兄さんのように見えるけどどうなのだろう。どうでもいいけど、双子なら何だかすごい。全然似ていない。
なんてそんな事は本当にどうでもよくて、まず考えなきゃいけないのは両親がどうして私をこんな塾に入れたんだろうかということ。エクソシストなんてそんな言葉を今まで聞いたことなかったし、そもそも父親は普通のサラリーマンで母親も普通の会社員。考えれば考えるだけわけがわからなくなるし不安は膨らむばかり。だからもうやめよう、と律儀に文字で埋められた課題を鞄にしまいこんだ。

今日は休みの日。塾は昨日から始まったが学園の授業は明後日から始まる。予習でもしておかないと置いていかれること間違いなしだ。塾はともかく、学園の授業くらいはちゃんとしなきゃと教科書を開くけど最初からよく分からない。こんなんじゃ入学早々フェードアウト決定だ。高いお金出してもらってせっかく入学できたんだから(親の意向だけどさ)やれる限りやらなきゃと思う。



「……はぁ」



教科書を読み進めて思うこと。これじゃあ私が置いていかれるのも時間の問題。毎日の予習復習は欠かせそうにない。


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