気付けば昼休み、気付けば放課後。
平和すぎて、何か起きないかなぁなんて事も考えちゃったり。
最近は松下くんさえも部活に顔を出さなくなった。
たまに来ては「最近は家で漫画を描いてるんです!」とえらくキラキラした表情で言ってくれるから何もいえず。
部活なんだから部室使って良いんだよって言葉も呑み込んで、たまにでいいから顔出してねと出来る範囲で精一杯先輩ぶっておいた。
だから最近は専ら1人の部室。
これもうほんとに別に私が毎日部室を開ける必要ないんじゃないだろうか、なんて。
思いつつ、やっぱりたまに部活終了間際に誰か来たりするから簡単には閉められないんだけど。

窓を開けると涼しい風が入ってきて、静かな部屋に1人でいると不思議と目蓋が落ちてくる。
まだ部活始まったばっかりだからいいかなぁと、睡魔に逆らう事もなくほんのりインクの匂いがする机に突っ伏して腕に顔を埋めた。



「おはよう」

「…お、はよう…ございます…」



意識が戻り顔を上げると、前の椅子に座っていたのは漫研部員でもなんでもなく微笑む東先生だった。
寝起きの姿を見られてよくよく考えると今凄まじく恥ずかしい状況だよねと理解し、顔に熱が集まるのを感じながら携帯の時計に目をやった。



「……」

「あんまり気持ち良さそうに寝てるから起こすの悪いかなぁと思って」



苦笑いするのも当然だろう。
そこはいくら寝てたからって叩き起こしてほしかったけど、今はもう運動部でさえ帰ってるような時間だった。
顔から一気に熱が引いて、今度は焦りで変な汗が出てくる。



「ご、ごめんなさい先生…!」

「いや…こっちこそごめん、やっぱり起こしたほうが良かったみたいだね…」



慌てて筆箱とか色々詰め込んで鞄を肩に掛ける。
慌ててるからパイプ椅子に膝とかぶつけてる私を見た先生が慌てなくていいよとか言ってくれるけど、何だか余計に恥ずかしい。



「暗いから気を付けて。本当は家まで送っていければ良いんだけどそういうわけにもいかないから…」

「や、大丈夫ですあの、…じゃあ帰ります……」

「おやすみ、また明日」



もう誰もいない、薄気味悪い階段を降りて下駄箱にて盛大な溜め息。
30分くらいのつもりだったのに何時間寝てたんだろう…と、時間が経つほど更に恥ずかしい気持ちと後悔と反省が私の頭をぐるぐると回っていた。


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