並中に通いだして数ヶ月。
季節はもうすぐ夏になる。



「げっ。今日服装検査あんの?」

「化粧バレるかなぁ」

「絶対言われるし…最悪なんだけど」



前を歩く先輩2人組がそんな話をしている。
それは風紀委員が主体となって不定期に行われる、抜き打ち頭髪服装検査。
いつもながら凄い怖い光景なんだけど、真っ黒な学ランを着た風紀委員の人たちが校門の前にズラッと並んで立っていた。



「1年B組むむむむー…問題無し」



見慣れた光景だけど威圧感があって、校則違反は何もしてないけど緊張する。

自慢じゃないが、私は入学してからまだこの厳しい検査に引っ掛かった事はない。
スカートだって膝上5センチくらいだし、髪も染めてないしお化粧だってしてない。
遅刻やサボりも今のところしてないし、欠席もしてないんだからなかなか優良児だと自分でも思う。(入学してからまだ数ヶ月しか経ってないけど…)
ただ毎日平凡に、無難に学校生活を過ごしている。
刺激なんて求めてないし、それなりに勉強してそれなりに楽しく過ごせたら十分だと思う。



「ちょっと君」

「……え?あ……はい………?」



私を呼ぶ声に顔を上げれば、そこに立っているのは並盛最強と恐れられる風紀委員長の雲雀恭弥だった。
まだよく知らないけど、気にいらない人は元が分からなくなるくらいにボコボコにしないと気が済まない…とかなんとか。

え?私何かしたっけ?
それが私の本心。
校則を破ったわけでもないし、何か目立つような事をした覚えもないし、ましてや彼の機嫌を損ねるような行動だって起こしていないはず。
…自信は、ない、けど。

呼び止められたはいいが何も話さないまま私を見る彼に、私の視線は足元を泳ぎ続ける。
通り過ぎる人たちは私達を見てコソコソ何かを話してるし、なんかしちゃったのかなぁ…って正直ちょっと泣きそうだ。



「君、今日から風紀委員だから」



………。



「………」

「分かったら放課後会議室ね」



……………………え?

私の感想はそれ。
余りに突然の事にぽかんとしていると、雲雀さんは肩に掛けた学ランをなびかせながら校舎に戻っていった。



「が…頑張れ……」



通りすがりに哀れんだ声を掛けてくれたクラスメイトの言葉が虚しく流れていく。
しばらく動けずにいた私の足をようやく動かしたのは、朝礼の始まりを告げるチャイムの音だった。



風紀委員会
 活動報告書



(これが始まり)


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