「悠太くーん」



休憩時間、同じクラスの松岡くんがよく浅羽くんのところにくる。
松岡くんはいつも浅羽くんの後ろにいる私にも笑顔で挨拶してくれたり話し掛けてくれたりする。
二人は仲が良いからいつも一緒にいて、ちょっとだけ羨ましくなる。(幼馴染ってなんかいいよね)
窓際だから、浅羽くんの弟さんとか塚原くんが来るのも良く見える。
ほんとに仲、いいんだなぁ。



「春ちゃん!」



…と、聞き覚えのない声。
何と無く目を向けるとやっぱり見覚えのない、髪の長いふわふわした小さな女の子。
廊下に出た浅羽くんたちの楽しそうな声が聞こえてきて、新しいオトモダチが出来たのかなって思った。

私なんか話すらまともにできないのに、

……なんて、誰にも気付かれないくらいに小さくため息。
やっぱり私と浅羽くんじゃ何もかもが違いすぎて、友達にすらなれないのかもしれない。
同じクラスになれただけでも、前後の席になれただけでもシアワセだと思わなきゃいけないのかもしれない。



「教科書30ページを…」



授業中、浅羽くんの背中を眺めるのが私の暇つぶしで、楽しみだったりする。
いつまでも見ていたくなる。
かっこいい。



「はい」



ぼーっと眺めていた背中が急に振り返り、渡されるプリント。
そうだ、背中を眺めるだけが私の楽しみじゃないんだ。



「ありがとう」



表情は崩さないけど、何と無く目が合って恥ずかしさでいっぱいになる。
背中を眺めるだけじゃなくて、時々回されるプリントも私の楽しみで。
それだけでなんだか嬉しくなって、なんか特別な気持ちになれる私ってほんとに単純なんだろうなと思った。


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