体育祭が終わり、落ち着いたところで梅雨の時期に突入。
じめじめするし傘を差すのだって面倒だし、髪の毛もまとまらないし、雨って気分が上がらない。
これがもうしばらく続くのかと思えば知らず知らず溜め息も出る。



「やだねぇ、雨」



岬ちゃんも溜め息を吐いて窓から外を眺めている。
勿論雨はザァザァと降り注いでいて、薄暗い空と重い空気を改めて感じるとやっぱり気分は上がらない。
朝から降っている雨は、止むことをしないまま放課後まで降り続いている。
梅雨なんだから当然だってわかってるんだけど嫌なもんだよね。



「あ、塚原くん。帰り?」

「むむむも?」

「今から帰るとこ」



そっか、と傘立てにの傘を手に持ってそれを広げた。
ボツボツと傘に当たる大粒の雨。
跳ねる水とか、なんかもう全てが鬱陶しくて、梅雨なんか早く終わらないかなって。



「そう言えば前に雨の日にこうやって二人で帰って、付き合ってるの?って言われたことあるよね」



隣を歩く塚原くんにそんな言葉を投げ掛けてみたら返事が返ってこなくて、チラッと見てみると「あー」って、照れてる。
塚原くんあのときもかなり焦ってたみたいだし、こんな噂苦手そうだもんね。
私もそうだけど。



「相合い傘だもんねぇ」

「…掘り返すなよ」

「ふふ、ごめん」



塚原くんにとってはかなりのダメージだったのかもしれない。
確かにあの後しばらくは東先生やクラスの子たちにも勘違いされてたみたいだし。



「やだねぇ、雨」

「梅雨なんだから仕方ねぇだろ」

「仕方ないんだけど、でも晴れてほしいんだよ」

「明日は晴れるみてぇだけど」

「え、そうなの?」

「天気予報見ろよ」



呆れたようにそう言った。
明日は晴れ、なんて知らなかった。
今日は朝、ちょっと寝坊しちゃってゆっくりテレビ見れなくて…なんて言い訳かもしれないけど。
明日からはちゃんと天気予報見なくちゃなぁなんて。



「去年の梅雨も、あんまり雨降らなかったんだっけ」

「そうだったっけ」

「あんまり梅雨っぽくなかったんだよ」

「雨が嫌なんだろ?じゃあいいじゃねぇか」

「そうなんだけど、地球的には心配だよね」

「言ってることめちゃくちゃだぞお前」



塚原くんの言う通り、さっきから私が言ってることってめちゃくちゃかもしれない。
雨が降らないのは私的には嬉しいけど、地球的に考えると雨は降らなきゃ困るもので。
…ほんとめちゃくちゃだな、私。



「じゃあね、また明日」

「おお…あ、折り畳み傘くらいは持っておけよ」

「うん、そうする」



バイバイ、と手を振って塚原くんとお別れ。
雨はまだまだ止みそうにないけど、明日が晴れるって知ると、もう少しだけ降ってもいいのになって、天の邪鬼な事を考えた。


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