盛り上がった体育祭もいよいよ終盤になり、一層の盛り上がりを見せていた。
いっぱい声を出して応援して、いよいよ本当の最後、フォークダンスの時間。
学年ごとに列になり、輪を作っていく。
私の隣に並ぶのはクラスも名前も知らない男の子で、並んで歩きながら三年生だけの大きな大きな輪になる。
向かい合うと、目の前の男の子は小さくはにかんで私に右手を差し出してくれて、それを握った。



「よろしく」



小さく呟いてくれた言葉に私も笑って返す。
男の子とこうやって手を繋いだりすることなんてないから、何だか少しドキドキする。
校庭に鳴り響くオクラホマミキサーに合わせて踊って、最後に小さくお辞儀をして次の人と手を繋ぐ。
前の女の子の嬉しそうに赤くなった顔が私にまで見えて、次の男の子を確認。



「どうも」



と、小さく声をかけてくれた祐希くんの手を握る。
祐希くん人気だからなぁって思いながら、意外と真面目に踊っている姿に頬が緩みそうになる。
やる気はない、かもしれないけど。

お辞儀をしてまた次の人。
もう何人の人と踊ったのかなぁと考えてみたり、そうするとまた見知った顔が私の手を取った。



「…何で笑うんだよ」

「や、塚原くんが踊るってイメージないからなんか、面白くて」



呆れた塚原くんと両手を繋ぎ、ゆっくり前に進む。
踊るイメージがないのもそうなんだけど、塚原くんが女の子と手を繋いでるっていうそれが似合わなくて。
失礼だから言わないけど、…っていうかこんなこと考えてるってだけで本当はめちゃめちゃ失礼なんだろうけど。

最後にお辞儀をして、そして私は次の手を握る。



「お疲れさまでした」



…――悠太くんの綺麗な手。

緊張なんてするに決まってる。
近付く肩や身体に熱が集まるみたいで、思ったよりもしっかりと握ってくれている手だってめちゃくちゃ熱い。
一緒に踊れる時間はとても短いけど、その時間はとても長いような、一瞬だったようなおかしな気分。

祐希くんと踊って顔を赤くしていた女の子、あの子はきっとこんな気持ちだったんだろうなって。
きっと、こんな気持ちの女の子や男の子は沢山いる。

輪がバラバラになり、閉会式を終えて体育祭は無事に終了。



「あー疲れたー!」



結局僅差で青組は優勝出来なかったけど、思い出は沢山できた。
もっと写真撮っておけば良かったとか、あの時ああすれば良かったとか思うことも沢山あるけど、それもまた素敵な思い出になればいいと思う。


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