午前の部を無事に終え、今から昼休みが始まる。
「はーおなかすいたー」
「なーひとまず一時休戦ですなー」
「騎馬戦お疲れさま…ドロドロだね」
「なんかもう騎馬戦めちゃくちゃだったもんね」
「男の戦いってやつですよ」
「ゆっきー良いこと言った!」
ドロドロのジャージを払いながら橘くんと祐希くんがやって来た。
騎馬戦が終わってからも私や茉咲ちゃんが出てる借り物競争の行方を見守ってくれていたらしい。
腕とか足とかまだ泥だらけで「お疲れさまでした」って声を掛けてくれたのは嬉しかったな。
「さ、私達もご飯食べに行こうか」
「そうだね!どこで食べる?」
「せっかくだし外で食べよ」
教室にお弁当を取りに行って、校庭の段差に座りそれを広げる。
他の子たちもたくさんいて、やっぱりみんな考えることって同じなんだねって笑った。
「あーそれにしても、私の借り物“眼鏡”だったんだよ。どう思う?」
「一番になれたんだし、それに岬ちゃんも楽しんでるように見えたけど」
「うんまぁ、眼鏡なんてかける機会無いしねぇ。塚原の眼鏡もたまには役に立つんだねー」
お弁当を食べながらのんびりとそんな会話をする。
ゆっくり食べながら一杯しゃべって、記念にって携帯で一緒に写真撮ったりなんかしてみたり。
「そういや今から浅羽弟、応援団なんだよね」
「うん……なんかさ、緊張しない?」
「何でよ」
「え、だって祐希くんの晴れ舞台だよ、応援団!」
「保護者じゃないんだから緊張はしないでしょ。あんたが張り切ってどうすんのよ」
バシッと私の背中を叩いて苦笑い。
岬ちゃんの言う通りかもしれないけど、何でだろう、やっぱり少しだけ緊張する。
「さ、そろそろ行く?」
「そだね」
「…あ、私教室にハチマキ置いてきたみたい。持ってくるから先に行ってて」
私のお弁当箱もついでに持っていってくれて、私はゆっくりと人が集まり始めている校庭に向かう。
その前にちゃんとハチマキ巻き直そうと鏡を探すけどなかなか見当たらない。
後で岬ちゃんにやってもらおうとフラフラしていると、前を走り去っていく学ラン二人。
……もしかして前を走っていたのは祐希くん?って、思ったのは何と無く。
祐希くんは途中で曲がっていった所を、後ろを走っている人はそのまま真っ直ぐ突っ切っていく。
興味本意、なんだけど。
私は祐希くんの走っていった方へ、ハチマキを握り締めたままゆっくり彼の後を歩いた。
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