借り物競争も私の番が終わり、二組後に岬ちゃんの番になった。
私ももう自分クラスの場所に戻って今度は岬ちゃんを応援する番。
私の隣には塚原くんがいて、その隣に悠太くんも座っている。



「あ、岬ちゃん来たよ」

「真っ直ぐこっち向かってきたな」

「要のこと見てるよ」

「あ?んなわけねーだろ」



そんな会話をしている間も岬ちゃんは走って来る。
んなわけねーだろ、って言ったはずの塚原くんも何と無く気付いてるんだろうけど。
岬ちゃんは確かに塚原くん目掛けて走ってきている。



「おっ、ま…危ねぇだろ!」

「危ねぇだろじゃないわよ男ならそれくらい避けなさいよ」

「なんだそのジャイアニズムは!!」

「もう何でもいいから早く眼鏡!貸して!」



軽く突進してきた岬ちゃんはその勢いのまま塚原くんの眼鏡に手を伸ばしていた。
そしてそのまま眼鏡を奪って走っていく。



「あいつ…!」

「まぁまぁ落ち着いて」

「塚原くんが眼鏡外してるとこ初めて見た」

「あぁ?…まぁそうだろうな、外すことねぇし」



立てた膝の上で腕を組み、そこに顔を埋める塚原くんは何だか恥ずかしそうだ。
物珍しさにまじまじ見ていると、見るなよって私の腕を肘で押した。



「いっちばーん!」

「おめでとう」

「余裕余裕!それにしても塚原、あんた結構視力悪いんだね」

「まぁ昔よりはだいぶ、っつーか眼鏡返せ」

「どう?眼鏡似合う?」

「インテリですね」

「お、ほんとに?さすがだね浅羽」



嬉しそうに笑って、かけた眼鏡に手を添えてインテリ風のポーズを見せた。
塚原くんは早く返してほしいみたいだけど「視界が気持ち悪い」って言って今度は私に掛けようとする。
視界がグラッと揺れて目を瞑ると、まぁそうだろうなってその眼鏡は塚原くんのところに戻っていった。


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -