どれでもいいやと、残っていた紙を手に取りそれを広げる。
目に入ってきたのはでかでかと書かれた『長男』の二文字。
これならクラスにも沢山いるかもしれないなって、私はクラスの皆がいるところまで急ぐ。
校庭が広いからクラスの皆のところに行くのにもやっぱり少し体力が削られる。
もう少し先なんだけど、その前にトボトボ歩いている祐希くんが私に気付いて近付いてきてくれる。
「何引いたんですか?」
「あ、うん、長男を探してるんだけど」
「長男?」
「うん」
「だったら悠太でいいじゃん」
周りをキョロキョロ見渡した祐希くんは、悠太くんを見付けてこっちに呼んでくれた。
駆け寄ってきたてくれた悠太くんはどうしたの、と私を見る。
持っていた紙を見せると納得してくれたようで行こっかと私の腕を引いてくれる。
焦って振りほどきそうになったけど、悠太くんが思ったより強い力で掴んでいてくれてそうはならなかった。
振りほどいちゃうなんて失礼なんだけど、私はこの状況に緊張とか恥ずかしさとか、とにかくもう色んな感情で順番とかそれどころじゃなくて。
「2着になっちゃいましたね」
「あ、うん、そうだね」
私の腕を離すと悠太くんはまた話し掛けてくれる。
「祐希ってば違うクラスなのに協力なんかするんだから。まったく…」
「でもおかげで2着になれたし、良かったんじゃないかな」
「まぁ、そうなんですけど」
お疲れさま、と私の肩に軽く手を乗せた悠太くんはクラスの場所まで戻っていった。
私は指定の場所に戻り、まだ掴まれているような気がする腕を擦って何だか少し恥ずかしくなった。
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