窓際の席で喋りながら時間を過ごす。
真ん中に明日までに仕上げなきゃいけないクラス旗があって、それを囲うように皆でわいわい話したり騒いだり。
旗のデザインはクラスで絵が上手な子がやってくれて、鮮やかですごく綺麗。
「むむむさん達もこっち来て!」
「せっかくクラス旗なんだから裏に皆の手形押しちゃおうってなったんだけど、いい?」
旗をデザインした子がそう言って、私たちは勿論頷いた。
少し絵の具が滲んだ旗の裏に、皆が青色の手形を押していく。
私と岬ちゃん、塚原くんと悠太くんも借りた筆で手に青色の絵の具を塗っていく。
綺麗に散りばめられた手形の隙間に自分の手形を押した。
塚原くんと悠太くんの手形がつけば、クラス全員の手形がそこに映し出される。
「クラス旗って感じだな」
「ね、体育祭っぽい!」
「手ぇ洗いに行くか」
洗面所はクラスの子みんなが手を洗ってた。
外で洗おうよって提案した岬ちゃんに頷いて、私たちは4人で外に向かう。
青い手で服を汚さないように細心の注意を払いつつ、私は隣でだるそうにしている塚原くんに悪戯を仕掛けてみた。
「うーわ最悪」
「どうせ洗うでしょ?」
塚原くんの腕を青い人差し指でちょんと触れば、勿論残る青い絵の具。
本気で嫌そうな顔をした塚原くんは仕返しとばかりに私の手首を握って、そこにはまるでホラーのような青い手形が残る。
そこまでしてないよ!って言うと塚原くんは笑って知らね、と呟いた。
「何してんのアンタ達は…」
「塚原くんが意地悪してくるんだよ」
「むむむが先だろうが!」
「もう…浅羽この二人何とかしてよ」
「いいんじゃないですか楽しそうで」
ね、要、と。
今度は悠太くんが塚原くんの手首を握って手形をつけた。
なんかいいな、こういうの。
「はいはいもう水道ついたから、喧嘩してないで洗いなさい」
一番被害にあったのは塚原くんで、岬ちゃんも楽しそうに悪戯を仕掛ける。
帰ってくる反応がいいからなんかやりたくなっちゃう、と笑った岬ちゃんも凄く楽しそうだった。
「水、冷たいね」
「水ですから」
「そっか」
「お前らどんな会話だよ」
「そりゃ水は冷たいよ」
響く笑い声に、流れていく青色。
今凄く学生っぽい、青春っぽい、なんて感じながら綺麗になっていく手のひら。
「明日も晴れるといいね」
「晴れるよ、たぶん」
「体育祭めんどくさい明日雨降らないかなー」
「おい!」
明日はいよいよ体育祭本番。
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