修学旅行二日目の今日は、映画村に行くスケジュール。
なんだけど。



「残念だけど今日1日はゆっくりしててちょうだいね」



保健の先生が私の隣でそう言って、私は静かに頷いた。
今はポツンと敷かれた布団の中。
風邪を引いた訳じゃないんだけど、朝からまさかの貧血。
今はみんなご飯を食べてるところだと思うけど、私は落ち着くまで一休み。
ご飯はまた後でね、って言われて私はボーッと天井を眺めた。

先生は一旦部屋を出ていく。
ポツン、と残されたこの静かな部屋がやけに寂しく感じる。
部屋の外は賑やかで、それが余計にそう思わせる。
今から皆、行くのかなって。
行きたかったなぁって。
ああなんかやっぱりちょっと寂しい。



「むーー、大丈夫?」



様子を見に来たのか、岬ちゃんが扉からひょいっと顔を出した。
朝ごはんを食べた他の子達も大丈夫?なんて言いながら部屋に入ってくる。



「びっくりしたよー!むむむさんいきなり倒れるんだから」

「はは…なんかごめんね」

「大丈夫なの?」

「今こんなのだから今日は1日休んでなさいって」



そんなことを話しながらみんなは制服に着替えている。
ぼんやりそんな姿をながめる。
やっぱりまだ身体は重い。
自分じゃよくわからないけど、顔も唇も真っ青だよってみんながすごく心配してくれた。

岬ちゃん以外の子達が先に部屋を出ていく。
岬ちゃんはまだお化粧をしていて、行きたくないなぁってボヤいてる。
どうして、って聞くと私がいないからだとそう呟いてくれて少し嬉しくなった。

鏡を見て満足そうに頷くと、パタンと鞄にそれをしまう。
岬ちゃんは短いスカートをヒラリとなびかせて立ち上がった。



「浅羽も心配してたよ」



ニッと笑った岬ちゃんが最後に言った言葉は、真っ青だって言われた私の顔にほんの少しの熱を浮かべさせた。


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