スピードを増して走る新幹線。
音が静かな事に驚きつつ、持ってきたデジカメの写真を見たりして時間を潰す。



「二時間かぁ。長いね」

「そだねー。でもお菓子いっぱい持ってきたからさ、食べよ」

「あ、私もいっぱい持ってきた」



東京から二時間とちょっとで京都まで行けるんだから新幹線って凄いなぁ、なんて下らないこと思いながら鞄からお菓子を取り出す。
お腹いっぱいになっちゃうねぇなんて話しながら周りりの子と交換したり、なんだかそれっぽい感じが余計に気持ちを弾ませていく。
富士山はお菓子に夢中になってる間に過ぎてたみたいで、これも思い出だと笑った。



「ちょっとトイレ行ってくるね」



岬ちゃんが椅子から立ち上がって、前にあるトイレに向かって歩いていった。
静かになったと思いながら窓から外を眺める。
見たことない景色が流れてくのを眺めるのは何だか飽きない。
窓の縁に置いたペットボトルに手を掛けると、どうやら岬ちゃんが戻ってきたらしい。



「………あ……え?」

「どうも、お邪魔してます」



何故か、隣に座ったのは岬ちゃんじゃなくて悠太くんだった。
一気に増す心拍数。
え、どうして何で悠太くんが?なんて思いながら下を向いて固まってしまう。
隣を見るのも緊張して出来ない。
ペットボトルに伸ばしかけた手はそのままで、反対の肩が時々悠太くんの腕に触れる気がしてどんどん縮こまっていく身体。
嬉しい、んだけどそれ以上に緊張してて、気まずい沈黙が申し訳無くなってくる。
岬ちゃんどこ行ったんだろう、ってそんな疑問を解決してくれたのは悠太くん。



「トイレから戻ったら俺の席に岬さんが座ってたんで……なんかスイマセン」

「え、いやあの、全然、謝らないで!むしろ謝らなきゃいけないの、私の方だし…」



ごめんね、って岬ちゃんの代わりに謝ると、悠太くんも気にしてないって言ってくれて一安心だった。
とりあえずお茶を飲む。
何と無く緊張が和らぐような気がする。
気のせいかもしれないけど。


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