5月、ゴールデンウィークも終わって何とか模試も終えた今週。
いよいよ待ちに待った修学旅行の日。
いつもより早めに学校に集合して、人数を確認してそれぞれのクラスがバスに乗り込む。
私は窓際の席で岬ちゃんと並んで、バスの真ん中くらいの席に座っている。
悠太くんの近くになれたらいいな、なんてそんな淡い期待はやっぱり叶わなかったけど。
バスどころか新幹線の席だってかなり離れちゃったみたいし、仕方ないかって解決。
そもそも悠太くんとか祐希くんの近くになりたいのは私だけじゃないし、その中で私なんかがなれるわけないし。
残念だとは思うけど、なれたらいいなって程度だったから、なんていうか、なれない確率の方が高かったわけだからやっぱり仕方ない。



「緊張するねぇ」

「緊張はしないけど、楽しみだよねー!」



制服を着て皆でバスに乗って、これから向かうのが京都なんだから緊張だってすると思う。(勿論それ以上に楽しみ!)
朝早い時間にも関わらず、東京駅に向かうバスの中はすでにテンションが上がりきっている。
例外なく、私と岬ちゃんも。



「新幹線とか初めて乗るんだけど」

「私も初めて!」



東京駅に着いて、皆がゾロゾロと決まっている席に着く。
二人掛けの席の、やっぱり窓際。
ちなみに私たちがだいぶ後ろの方の席なのに対して、悠太くんたちはだいぶ前の方。
祐希くんと松岡くんと橘くんも一緒にいるらしい。
女の子たち、みんな行きたいんだろうなぁって。
同じ車両ってだけでも喜ばないとね、なんて岬ちゃんと笑えるんだからそれはそれでいいのかもしれない。



「あ、出発だよ」

「わくわくするね」

「早く行きたいな、京都」

「いっぱい買い物したいな」



多目にもらったお小遣い。
持っていけるお金は幾らまでって一応決まってるんだけど、みんな多分それ以上持ってきてると思う。
京都らしいものとか、美味しいものいっぱい食べたいし。
わくわくする気持ちを乗せて、新幹線がゆっくりと動き出した。


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テーマ「人外ファンタジー」
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