意外と、思った以上に順調に勝ち進んでいる球技大会、女子卓球。
二回戦が終わって三回戦。
運よく相手は卓球未経験者ばっかりで、次もどうやら楽そうだからと卓球を選んだらしい女の子二人が相手。
いい試合だったけど勝っちゃって、お昼休みを挟んでから準決勝が待ち受けている。



「順調すぎる」

「ねぇ」



教室でご飯を食べながら、午前中の試合を振り返る。
隣の試合は現役卓球部員や元卓球部員が白熱したような試合を繰り広げていた横で、未経験者同士ゆるい空気のまま繰り広げた私たちの試合。
次は負けちゃうねぇ、なんて笑いながら話せるのも自分たちの実力を分かりきっているから。



「バレー負けちゃったみたいだよ」

「見に行きたかったなぁ」

「そうだよねぇ。兄弟対決見てみたかったかも」



午前中の体育館ではかなり白熱した試合が行われていたらしい。
二試合目にうちのクラスと祐希くんたちのクラスが当たって、ギャラリーもそうだけどバレー部も驚きの試合風景だったらしい。
どれだけ浅羽兄弟のファンが増えたかはもう分からないんじゃないの、とか言うから苦笑いしか浮かばない。
いや、悠太くんと同じクラスで、祐希くんたちと話せるんだから何も言えない、けど。
だけど、なんだかなぁ…。

休憩が終わって卓球場に向かい、気合い十分の相手にちょっと戸惑いながら試合。
当然惨敗だったけど、まさかの奇跡の第3位。
三回戦までで卓球経験者がかなり負けちゃってたみたいで、運良く入賞できたのだ。



「バレー決勝、まだやってると思う?」

「やってるんじゃない?…そっか、弟んとこのクラスだっけ」

「うん。……見に行かない?」

「ん、行こっか」



にっこり、笑顔で答えてくれた岬ちゃんと一緒に体育館に向かう。
体育館の外にまで聞こえてくる歓声に、そっと扉を開いて中を覗いて中に入った。
体育館の隅で試合を眺める。

―ピーッ

…と、そんな時間もないまま試合は終わりを迎えていた。
岬ちゃんと顔を見合わせて、すごいタイミングだったねって笑ってしまう。
見えたのはたった一瞬。
祐希くんがスパイクを決めた、その瞬間だけ。



「優勝しちまったぜ!」

「み…見に来てくれて、たんですね……あ…ありがと、ございます…っ…」



親指を立てて優勝を報告してくれる橘くんと、疲れ果てて今にも倒れそうな様子の松岡くん。
そしてその後ろから祐希くんがゆっくり歩いてきた。
目が合って、私の前で立ち止まって。



「ご褒美を、」

「アホかお前はっ」



右手を差し出した祐希くん。
…と、その手をペシッと叩いた塚原くん、それに悠太くん。



「卓球3位だったんだってね」

「あ、うん…一応」

「運がよかっただけなんだけど」



おめでとう、って、それが何だかくすぐったくて、照れ臭かった。
本当にたまたまだったんだけど。
運も実力のうちですよ、なんて言ってくれたから私も岬ちゃんも素直にありがとうって頷いた。


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