東先生は風邪を引いているらしくその看病を皆でするんだとか何とか。
祐希くんと橘くんとあきらさんは勝手に台所を触りはじめ、おかゆを作ると意気込み始める。



「バカかお前なにおかゆにビール入れてんだよ!!」

「えー?だってたまご酒もお酒入れるじゃん」

「ビールって元気になる成分とか入ってるんですか?」

「うん入ってる入ってるっ。大人はさ、何がつらいことがあるたびお酒に助けられてきたんだから」

「つっこみにくいわ!!」



ジャボジャボと土鍋に投入されていくビール。
味がないからって、おかゆはそもそもあんまり味ないし…って思うものの言葉が出なくて見守るだけ。
そのうちどんどん調味料が投入されて、おかゆは黒くなり異臭を放っている。
…こ、こればダメだよねって思ったのは私だけじゃなくて橘くんや祐希くんもそうだったらしくて。



「むむむさん作れる?」



祐希くんの問い掛けに苦笑いで答え、結局それは三角コーナー行き。(うわあ先生ごめんなさい…)
料理は得意じゃないけどおかゆくらいなら作れる。
美味しくなくてもさっきのよりマシだと思うし…って思いながらご飯に水を入れて煮込んだ。



「お粥ってこれでいいんだ」

「これが普通だと思うんだけど…」



覗き込んでる祐希くんと橘くんにちょっと照れながら、塩を入れて味を調整する。
2人にちょっと味見してもらってオッケーが出たから東先生のところに持っていく。
先生かなり顔色が悪い。



「先生大丈夫ですか?」

「ああうん、なんとか…」



ありがとう美味しいよ、って作ったお粥を食べてくれる。
誰かの為に何かを作るなんて今までなかったから、照れ臭くってだけど嬉しくなった。



「むーちゃんがこーちゃんのお嫁さんになればいいのかぁ」



台所から私たちを見ていたあきらさんが呟いた言葉がやけに響いて聞こえた。
その瞬間先生はおかゆを吹き出し、橘くんと祐希くんはそんな先生を介抱してる。



「そんな禁断の愛はドラマの中でじゅーぶんなんだよチョコバナナ!!」

「えーなんで?いいと思うんだけどなぁ」

「そもそもそれじゃあ間に合いませんから。むむむさんが卒業するまで待たなきゃいけないですから」

「そういう話じゃないから!!」



私たちが帰る頃には、さっきよりゲッソリしたようにも見えなくない先生がベッドに横になっていた。
申し訳ないことしちゃったな…ってそんなことを考える。
明日のお見合いが上手くいけばいいのかどうなのかはわからなかったけど、取り敢えず早くよくなればいいなって思った。


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