今日はマラソン大会です。
午後の時間を使ってまでやることないのになぁ…って朝から憂鬱な気分。
「今回は食堂のタダ券もらえるらしいよ」
「そうなんだ…食堂使わないからいらないんだけどねぇ」
「ほんとそれだよ。走るだけいいと思ってほしいよね」
女子は5キロ。
完走できたらいいよねって、ゆっくり走ることを決めた。
男子は先にスタートで、みんな帰ってきてから女子のスタート。
ただ待ってるだけだとほんとに寒い。
男子のトップ集団が帰ってきて、それから間を空けて続々と帰ってきた。
「帰ってこなくていいのにねー」
女子も準備を始める。
柔軟とか軽く体操をしながら身体を暖めて、着ていた長袖を脱いで準備はバッチリ。(ああ寒い…)
男子の最後の一人が帰ってきて、ダラダラと準備をして女子がスタート。
陸上部とか運動部の子たちは最初からとばしていて、私たちは「すごいねぇ」とか「頑張るねぇ」とか、他人事のようにゆっくり走る。
速くはないけど、歩いたりしないだけいいんじゃないかなって。
「頑張って、あと半分だよ」
「あ。先生ジャージだ」
半分の地点に立っているのはジャージ姿の東先生。
ゆっくり動かしていた足を止めた岬ちゃんに合わせて私の足も止める。
「立ってるだけじゃなくてさ、先生も走るべきだよ絶対」
「それはなぁ…」
「生徒に見本を見せてくださいよ。ずるいなぁ先生って」
苦笑いを浮かべる先生は、ぽんぽんって背中を軽く叩いて走る事を促してくれる。
止まっていた足を動かして走りだすと、後ろから「がんばれー」って声が聞こえてきて岬ちゃんと笑った。
結果は良くもなく悪くもなく、真ん中よりちょっと後ろくらいの順番。
上位はやっぱり運動部が独占してた。
「男子のビリ金髪じゃん」
「……ほんとだ」
結果は簡易に作られた掲示板に表示されていく。
男子のビリはどうやら橘くんらしい。
その付近には塚原くんと祐希くんの名前もある。
悠太くんの名前を探していると、皆で一緒に走っていたわけではないようで、私たちと同じ辺りに悠太くんと松岡くんの名前があった。
「お疲れー!」
ぶんぶんと頭の上で大きく腕を振りながら橘くんが走ってくる。
もう最悪!なんて愚痴を聞いてると祐希くんもやってきて、目を向ければ軽く会釈してくれる。
お疲れ様って声をかけると同じように返してくれて、なんだか少しホッとした。
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